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 12月4日、昼休みの時間帯に、サンケン電気大阪支店(大阪市北区)に抗議と申し入れがおこなわれた。おおさかユニオンネットワークが主催し、33団体が参加した。緊急の取り組みとなったが50人が集まった。

 支店前に据えられた音響効果が抜群の大型スピーカーから韓国の労働歌が鳴響く。戦闘的な韓国の現地行動を大阪の地で再現した。韓国サンケン労働組合の女性労働者が韓国語で「サンケン電気は本当に卑劣で汚い許しがたい会社です」と糾弾。それを日本語に通訳して、支店がある西梅田一体に響き渡った。ここはグローバル企業やホテルが集結する地区で働く労働者や市民に韓国労働者の肉声が直に伝わる臨場感一杯の闘争となった。

 この日は、サンケン電気の完全子会社である韓国サンケンの労組つぶしのための組合員全員への解雇通告(7月9日)、来年1月20日の雇用関係解消=解雇強行を阻止するために全国の支店や営業所に対する申し入れ行動として取組まれた。12月20日には埼玉の本社でデモ行動が予定されている。コロナ禍で韓国からの遠征が困難であることにつけ込んだ解雇攻撃を突き破る日韓連帯行動である。

コロナ情勢突き破り熱き日韓連帯

 —韓国サンケン組合つぶしに大阪抗議行動

 申し入れ団はサンケン電気大阪支店のオフィスがある明治安田生命大阪梅田ビルの25階に上がっていく。ドアは全て施錠されている。インターホンに出た社員は役職や氏名を明らかにせず「帰ってくれ」「支店長は不在」「あなたたちとは会わない」「対応する者を置いていない」「申し入れ書はポストに入れておいてくれ」と面会を拒絶。まさに不当労働行為企業、悪徳企業の典型的な対応だ。

 この行動と一体で玄関前では、大音響で韓国サンケン労組の訴えや労働歌が流れた。

 玄関前での申し入れ団が怒りの報告。参加者全員で抗議のシュプレヒコールを大阪支社に叩きつけた。連帯ユニオン関西生コン支部、全港湾大阪支部、大阪全労協等参加団体から日韓連帯のアピールを受けて1時間の行動を闘った。参加労組団体は全体で日韓連帯・解雇撤回まで闘いを固く誓いあった。

▽馬山自由貿易地域

 サンケン電気株式会社は、1946年設立。埼玉県新座市に本社を置く、半導体・電気機器の中心メーカーで北米・中国など展開するグローバル企業だ。資本金209億円、連結労働者数約9500人、東証1部上場企業。日本の電源3社の中心的存在である。韓国サンケンは100%子会社で、オフィス向けの発光ダイオード(LED)の灯具の製造・販売を手掛け、慶尚南道(キョンサンナムド)昌原市(チャンウォン)、馬山(マサン)自由貿易地域内にある。

 サンケン本社は自由貿易地位域(関税優遇、労働法適用除外など)を利用して韓国に進出した。そこに民主労総の組合が作られたことから、争議が始まった。そして組合つぶしの偽装解散を日本本社は7月9日決定した。詳しい経緯は申入れ書(添付)を参照されたい。

 関西では80年代アジアスワニー日韓連帯争議が壮絶に闘われ、その勝利の経験から日韓連帯の歴史が築かれた。このサンケン争議はまさにその再現の闘いで日韓連帯の〈今日の質〉が問われている。サンケンの思想は「植民地」思想ではないか。このグローバル企業とたたかうために労働運動の全潮流の結集を訴えたい。これは関生弾圧への反撃とともに労働運動の再生をめざすのたたかいではないだろうか。(森川数馬)