集まっているみなさんの平均年齢が高いですね。若い人たちが今回の問題を含め、菅政権の行為に疑問を持たない現状が問題だ。私たちの責任でもある。『毎日』の11月世論調査、菅内閣支持率のいちばん高いのが18歳から21歳の若年層、80%でした。今回の学術会議任命拒否、「問題ない」と答えたのが18歳から29歳までの59%です。若い人たちが、いまの政権のあり方に危機感を持っていない。内閣支持率いちばん高いのが若い世代、いちばん低いのが80代。この世論構成は、かなりいびつですね。

 「選挙で勝った与党の総裁が首相。だから、好きにやっていいんじゃない」と。いまの日本、そう思っている人が過半数ですよ。でも、菅政権がやっているのはGO−TOと携帯料金値下げ、学術会議任命拒否くらい。「軍事研究に舵をきる」という声もあるが、そんな大それた国家戦略を持っているのか。それなら、すべての学者、研究を集めなければ。「国力を上げる」というのは、そういうこと。イエスマンだけ集め、優秀でも少し文句を言えば排除するようでは、日本の学術力は下がる一方ですよ。それではとても国力増強などできない。

 菅首相は、何がしたいのか。組織マネジメントであり目的なし。基本、橋下徹と同じ。大阪市で彼がやったことは自治体の基本になる行政、教育や医療をコストカットと称して崩していった。市民生活に密着した部分が強いところは、自立性がある。首長に物も言う。

 菅首相も個々の国の根幹となる機関が、どう機能するかなどはどっちでもいい。言うことを聞く人間だけを集める。自分が無能だから、意見や考えの違う人たちと向き合い合意形成していく力がない。自分よりもっと無能な人を集めたがる。こういう人を総理にしてはいけない。今回の問題についても、薄笑いしながら「こういう反撥があると思っていた」と、気にしていないというか何が起きているのかわかっていない。今後も6人を任命しないでしょうから、違法状態が続く。600を超える学会が厳しく批判しているわけだから、政府に協力する学者は減少する。残るのはイエスマン、業績はいかがかという先生たちばかりになってしまう。国際社会からも日本の学術、その発信力は下がる一方でしょう。

 若い人たちは、トップダウンの社会に馴染みきっている。だから、ぼくらは、へこたれずに声をあげ批判し続けること。蛙どうしが、蛙の数を競いあっていてはいけない。周りの若い人たちに「痛ましい現実だけど、直視しよう」と訴え続けていくこと。がんばりましょう。(12/6学術会議任命拒否デモ、集会発言要旨=文責・本紙編集委員会)