12月17日、市東孝雄さん(成田市天神峰)の農地取り上げの強制執行の停止を求める請求異議裁判・控訴審の判決で、東京高裁菅野裁判長は「控訴棄却」、「仮執行許可」(判決確定前の執行が可能)などを言いわたした。

 これは市東さんと弁護団の訴えを全面的の退ける不当判決であり、反動判決である。断じてに認めることはできない。市東さんと弁護団は直ちに上告をおこなうとともに、仮執行停止を求める手続きに入った。

 12月21日、千葉地裁は、仮執行について担保保証金100万円で来年3月までの暫定的な執行停止を決定した。

▽天神峰で耕し続ける

 裁判は、コロナ禍のなかで傍聴者が定員の半分に制限された。判決の言いわたしは主文を読み上げただけでわずか1分で終了。裁判官は逃げるように法廷を後にした。あまりの不当判決に怒りもさめやらぬまま、市東さん、反対同盟、傍聴者、支援者は直ちに高裁前に集合。東京高裁と菅野裁判長にたいし、怒りのシュプレヒコールを叩きつけた。

 弁護団が上告と執行停止の手続きをおこなうのと並行して、裁判の報告会が弁護士会館で開かれた。

 冒頭あいさつに立った市東孝雄さんは、「多見谷判決(農地法裁判1審判決)などと同じように不当判決でした。期待はしていませんでしたけれども、あまりにも多くの皆さんの証言が反映されていないことは絶対に認めることはできません」と判決を弾劾。

 「これで終わったわけではありませんし、耕作権裁判もあります。天神峰でこれからもまだまだ耕していくという気持ちに変わりはありません。皆さんのご支援をよろしくお願いします」と、これまでどおり生活と農業と闘争を継続する決意を力強く語った。

 さらに報告会にかけつけた葉山岳夫弁護団長らから判決文の要点についての批判がおこなわれ、弾劾声明を発出した。

 判決文の最後には、「なお本件強制執行においては、その時期、態様等について可能な限り当事者間で協議を行い平穏、円滑に……実現するよう最後まで努力することの重要性はいささかなりとも失われてはいない」などと「付言」されているという。当事者間の協議の重要性を言うのであれば、菅野裁判長は、なぜ成田空港会社の強制執行の権利濫用を戒め、強制執行の停止を決定しなかったのか、なぜ仮執行決定まで付けたのか。判決文は矛盾だらけであり、誰が読んでも理解不能だ。

▽東京高裁へデモ

 判決に先立って、日比谷公園霞門前で打ち合わせ集会がおこなわれた。あいさつに立った反対同盟の萩原富夫さんは、「どのような判決が出ようと私たちは市東さんの農地を守り抜く」と決意を語り、動労千葉、関西実行委員会、市東さんの農地を守る沖縄の会、市東さんの農地取り上げに反対する会から連帯のあいさつ。東京高裁に向かって「市東さんの農地取り上げを許すな!」「強制執行の停止決定を行え!」のシュプレヒコールとデモをおこなった。