
12月17日、加茂生コン第一事件の判決が京都地裁(第三刑事柴山智裁判長)出会った。判決は安井執行委員に対し懲役1年、吉田組合員に対し懲役8月、それぞれ執行猶予3年というもの。傍聴者から「憲法28条を知っているのか」「裁判官失格」などの弾劾が叩きつけられた。判決後の報告集会で森博行弁護士は「想定した中で最悪の判決」と怒りに震えて弾劾した。
▽組合活動を犯罪視
この事件は、滋賀コンプライアンス事件、大阪ストライキ事件、とならぶ象徴的な弾圧だった。2017年10月、加茂生コン(京都府木津川市)の日々雇用労働者が関生支部に加入した。関生支部は組合員の正社員化などを要求して団体交渉を申し入れたが会社は拒否。理由は、組合員は「請負」であって労働者ではないという就労実態を無視したもの。そして会社は突然「11月末廃業」を通告するとともに、組合員の子どもが保育所に入所するための就労証明書の発効を拒否した。組合は「廃業」は組合つぶしを目的とした偽装の疑いがあるとして、12月から監視活動を続けた。京都地検はこれらが「脅迫」や「義務無き行為を行わせた強要未遂」にあたるとして組合員を逮捕・起訴し、懲役2年を求刑した。「組合を結成し、団交要求したことが犯罪である」としたのだ。
判決では、市役所に保育入所の申告書を出した11月28日以降に、10分間、就労証明書を要求したことや、10人で偽装廃業の監視活動したことが「社会的相当性を超えている」として、それが相手を「畏怖」させる「強要」であり、「圧力をかける目的」の「脅迫」だったと決めつけた。
▽府労委では勝利
この件は大阪府労働委員会が会社の不当労働行為を認定して、19年12月に勝利命令を出している。誰が見ても「無罪判決しかありえない」裁判だった。ところが京都地裁は権力の組合弾圧に迎合する犯罪的な判決を下したのだ。一方で、「正社員化」や「一時金」の要求は脅迫には当たらないとされ、武建一委員長と湯川祐司副委員長の「共謀」は無罪とされた。
判決後報告集会で立命館大の吉田美喜夫名誉教授(労働法)は「社会的相当性と判決はいうが、ここで問われているのは従属的位置にある労働者と使用者の争いであり、市民法の論理を適用するのはまちがい」と強く弾劾した。被告とされた組合員らは「社長夫妻は極悪、これが許されるのか」、「裁判長はまちがっている。自分たちは間違っていない。これからも同じことがあれば、同じことをする」ときっぱりと表明。直ちに控訴した。
この不当判決は、労働基本権を保障した憲法 28 条と労組法1条2項の刑事免責を否定するものだ。あたり前の労働者の権利が無きものされては労働者・市民のいのちと生活は守れない。2021年も関生弾圧の判決が続く。京都地裁判決では検察の起訴内容を一部で押し返した。これは京都における全被告奪還を実現した4〜5月連続行動などの地道な取り組みや、12月4日の署名提出行動などの成果である。
21年元旦闘争から運動のさらなる強化をかちとろう。(森川数馬 12月24日)