四国電力の伊方3号機をめぐって昨年1月17日、広島高裁が山口県の住民の申し立てを認め、運転を認めない仮処分の決定を出した。これに対し、四国電力は異議を申し立てていた。12月24日、同高裁が住民と電力会社の双方から意見を聴く、審尋(非公開)が開かれた。

 審尋では住民側、四電側の双方がプレゼンテーション。審尋を終えた後、広島弁護士会館で報告会・記者会見を開いた。

 審尋で四国電力の「反射法地震探査」を徹底批判した芦田譲(あしだ ゆずる)・京都大学名誉教授が解説。芦田さんは、四国電力が行なった海上音波探査(反射法地震探査)は、人工的に起こした地震波が海面や海底面を行ったり来たり繰り返す重複反射を除去する技術が極めて不十分にしか使われていない二次元探査であり、最新の3次元探査を実施すべきであると裁判所に提出した意見書を説明。「四国電力が科学的知見と主張しているものは、例えればがん治療に関しX線撮影の画像や初期のCTスキャン画像のような平面の白黒画像診断のレベルであり、最新のMRIやヘリカルCTのような立体的で回転可能なカラーの画像診断による診断や治療法を批判しようとする極めて非科学的なものであり、多くの住民を命の危険に晒すものでしかない」と分かりやすく解説した。

 さらに、「3次元反射法地震探査はすでに活断層調査の分野でも実用化されており、熊本地震後に八代(やつしろ)海で行なわれた日奈久(ひなぐ)断層帯の調査では優れた実績を上げている。四国電力もやろうと思えばすぐにでもできる調査だ。四国電力は頑なに3次元反射法地震探査をしようとしない。『詳細な海上音波探査により佐田岬半島沿岸に活断層が無いことは確認済み』という四国電力の主張の誤りは明白だ」と批判した。

 高裁は3月18日に伊方山口仮処分異議審の決定交付を予定。(江田宏)