2月4日、大阪高裁は2015年「白バス事件」弾圧(2面に解説)で全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)組合事務所にたいする大阪府警の捜索を違法として1100万円の賠償を求めた裁判の控訴審で、2月4日、大阪高裁は、捜索令状の請求が違法だったとして府側に11万円の賠償を命じた。20年7月の大阪地裁による請求棄却をくつがえす逆転勝訴だ。地元大阪の主要な報道機関はこの判決を報じた。

 当日は組合員や支援者たちで傍聴席が満席となった。中村也寸志裁判長が判決の冒頭で、「11万円の支払いを命じる」と読み上げると傍聴席はどよめいた。判決では、捜索時の肖像権侵害する撮影、組合への信用を失墜させる暴言、西警察署の請願行為の拒否など3点の請求が棄却されたことは不当だが、「訴えの核心部分である捜索令状請求が違法とされた」(位田浩弁護士)ことは大きな勝利で、一連の弾圧に風穴開けるものだ。

【解説】2015年「白バス事件」弾圧
 14 年9月、京丹後市で開かれた米軍Xバンドレーダー(ミサイル早期警戒システム)配備反対全国集会に参加するために用意されたマイクロバスで、大阪市内で乗車した参加者から、経費として1人3000円を集めたことを、大阪府警が「営業行為」とみなして「道路運送法違反」をデッチあげた弾圧。翌15年6月、市民運動の活動家3人を逮捕し(その後、不起訴釈放)、関西全域で20カ所を捜索した。関生支部は、問題となった集会にはマイクロバスを貸し出しておらず、またこの集会には参加していなかった。関生支部は不当な組合事務所への捜索と西警察署が請願行為を拒否したことにたいして損害賠償を求める訴訟を起こして、不当弾圧に対する反撃にでた。20年7月、大阪地裁は「バスの運行は営業有償行為」として請求の全てを棄却したが、今回の高裁判決は 「市民団体の一時的運送にすぎず、大阪府警の判断は、合理的な判断過程により導き出されたものとはいえない」「捜索令状請求が違法」とした。