
コロナで大変な状況が続く中、人々は生活上も精神的にも大きなストレスをかかえている。元気が出るニュースで乗り切る力になればと、ローカル長崎の朗報を届けたい。
1月29日、春の全国センバツ高校野球選手権に出場する32校が決定し、長崎は大崎高校が決まった。高校の所在地は県西部離島の西海市大島。人口5千人の小さな町の高校だ。1952年開校で、男女共学。全校生徒数は113人。野球部は1960年創部で、現在の1、2年生の部員29人。県内でも最近までほとんど目立たない存在だった。17年には廃部寸前の部員5人だったこともある。県初の甲子園優勝をなしとげた清水監督がコーチとして島にきたのも17年。今の3年生20人が入部し、合宿生活を送りながら「ゼロ」からのチーム再生が始まった。
清水監督の言葉、「みな覚悟をもってあつまった〈覚悟の塊〉。こつこつと激しく、地域にも応援されて…」。島民の応援が後押しになったチームづくり。19年秋には58年ぶりに県大会を制し、20年夏は県独自大会で優勝。昨秋、九州地区大会決勝で強豪の福岡大大濠高校を倒して初優勝。廃部寸前からの急成長で強豪校をなぎ倒す快進撃を見せた。島民も試合に駆けつけ応援し、ついに29日のセンバツ出場決定を引き寄せた。
チームの自慢は、大黒柱のエース右腕の坂本(2年)を軸にした堅守で、甲子園でも「離島旋風」の期待が高まる。最速139キロの坂本は「この日を目指して、苦しい冬の練習を頑張って来た、145キロを出し、勝って島民に恩返ししたい」と意気込む。主将秋山(2年生)は「地元の人達と3年生を甲子園に連れていけるのが嬉しい」と。島の人たちの「頑張ってね」の声かけが成長の糧に—まさに島チームだ。
今頃は、甲子園での勝利を目指して猛練習に打ち込んでいる姿が目に浮かぶ。最近のセンバツでは離島高校の苦戦が続く、14年大島(鹿児島)や16年小豆島(香川)などが初戦敗退。大崎はこの壁を必ず突破するだろう。「島の大崎」、「無名の大崎」の活躍を期待したい。『未来』読者の皆さん、是非とも応援を。頑張れ!大崎。