
2月11日、「これでいいのか日本!2021滋賀集会」が大津市の解放県民センターでおこなわれ、参加予約制で75人が参加した(写真下)。講演は、関西学院大学の桜井智恵子さん。教育学者で、この集会の講演は2回目。演題は、「世界を滅ぼす資本の運動—コロナで露呈した近代公教育という暴力—」で、90分間たっぷり話した。
桜井さんは、子ども支援の現場で、「子どもオンブズマン」などのさまざまな活動に携わってきた人だ。「対処療法では変わらない。子どもを苦しめるラスボス(黒幕)である資本の運動を何とかしないといけない。弱い者に寄り添うには、なぜそうなっているのかを解明する必要がある」と話を切り出した。
桜井さんは大阪市大の斎藤幸平さんや大阪府大の酒井隆史さんらと勉強会をもっているという。講演のレジュメにも、類学者のデヴィッド・グレーバーや哲学者のミシェル・フーコーを引用。グレーバーについては、昨年9月2日に59歳で亡くなったことが「残念だった」という話した。
話は新自由主義の批判へ。資本の運動は新自由主義となって世界を覆っている、新自由主義には前期と後期がある。前期は自立・自己責任・規制緩和などを掲げていたが、後期になると個別最適化・自立支援・国家の積極的役割などを主張しはじめた。
特に教育の分野で、エドテック(情報通信技術ICTを駆使した教育技術の革新)や、個別最適化がもてはやされ、教育産業が大儲けする仕組みが着々と進んでいることを詳しく説明した。
こうした動きに対抗する取り組みとして、「きのくに子どもの村学園」(和歌山県橋本市)の例をあげ、グレーバーの「本来の民主主義社会」における共同体や、フーコーの「脱個人化」に引きつけて説明した。
続いて、「配分と原理の変更が具体的に問われている」と指摘し、グレーバーの基盤的コミュニズムや欧州のミュニシパリズムの実践について解説。話は子どもたちに人気のヨシタケシンスケの絵本にまで及んだ。