2月1日早朝、ミャンマー国軍は議会招集の数時間前に、与党・国民民主連盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー国家顧問(75)や複数の政治家を拘束し、国家権力を掌握したと宣言した。翌2日には、SNSを通じて抗議行動が開始され、その規模は拡大していった。2月28日、国軍はデモ隊に対し、実弾の発砲を含む武力行使に踏み切り、この日、少なくとも18人が死亡、30人以上が負傷した。惨劇が明けた3月1日、首都ヤンゴンの市民らは再び街頭にあらわれ、抗議の意志を示した。現在(3月○日)も国軍の武力行使は続き、犠牲者は○○人にのぼっているが、クーデターへの抗議運動はやまない。日本でも在日ミャンマー人らによる抗議活動がおこなわれている。

 国軍は昨年11月、NLDが大勝した総選挙で「不正があった」と主張しているが、それを裏付ける証拠はない。クーデターに踏み切った理由は国軍内部からNLDに票が流れたためだとも言われている。実際に、国軍将校や兵士、警察官らが市民の抗議活動に合流する事態が生まれている。武力で民衆の闘いを制圧するのは不可能である。

 これまで日本はミャンマーの軍事政権を財政支援やODAなどで支え続けてきた。日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば20年末段階でミャンマー日本商工会議所に加入している日系企業は433社。丸紅、三菱商事、住友商事、イオン、KDDIなどが、安い労働力目当てに進出している。日本政府は「長年の国軍とのパイプ」を国際社会にアピールしているが、それは日本企業の権益を守るためのものであって、けっして民衆のためではない。

 必要なのは、私たち一人ひとりが、「軍事クーデター反対」の声をあげ、ミャンマー軍政に対する民衆によるグローバルな包囲を作り上げることだ。(椎名恵)