琉球遺骨返還訴訟の第8回弁論があり、その後に報告集会があった(2月26日、京都地裁)。
報告集会では、弁護団から琉球遺骨返還請求訴訟の支援全国連絡会から、この日の訴訟目的について提起があった。
▽裁判所に見分を要求
京都大学は博物館、資料館に保管されている遺骨の保存状況、名簿等を明らかにしていない。原告側は『裁判官は一緒に京大に行って、保管状況を見てほしい』という申し立てをおこなった。
また京都帝国大学助教授・金関丈夫らが遺骨を盗掘した沖縄県今帰仁村にある百按司墓(むむじゃなばか)が、どういう場所で、どのように風葬されているのかを見分するように要求した。
裁判所の京都大学にたいする態度は、『名簿はどうなっているのか。次の期日までに提出してほしい』というところにとどまっている。
また2014年に、京都大学のゴミ集積所から人骨を納めた木箱(写真)が見つかった。。木箱には、(奄美)大島郡喜界村赤蓮とかかれている。京大の遺骨保管がいかにずさんなのかを示す証拠だ。京大は事実関係を認めていないが、裁判でこれを示して、大学の態度を変えさせなければならない。
▽人種主義による盗掘
裁判を傍聴した恵泉女学園大学教授の上村英明さんは、「研究者たちは世界各地で骨を集めている。北海道では、アイヌ民族の遺骨を盗掘した。帝国主義の時代、自分たちからみて下にみた人の人骨を調べることを通して、いかに自分たちが優秀であるかを研究してきた長い歴史がある。それが歴史だけならいいが、まだ続いている。こういう裁判をしなければならないという問題に直面している。近代を問いかけるきっかけになる。裁判は大変なエネルギーを必要とする。支援が大事だ」と話した。
沖縄県に対する住民監査請求について、原告は、「沖縄では台湾大学から返還された63体の遺骨をめぐり、墓に返すために取組みをおこなっている。3月21日、沖縄県立博物館で、1903年の学術人類館事件(注)を問い直すシンポジウムをおこなう。この問題は終わっていない。日本人類学会は、京都大学に「遺骨を原告に返すな」という要望書を出している。琉球人の尊厳よりも研究を優先させるもの。シンポではこの問題をえぐりだしたい」と話した。
次回の弁論期日は5月21日(金)に決まった。傍聴を呼びかけたい。
(高崎庄二)
(注)人類館事件 1903年、大阪市内で開かれた政府主催の内国勧業博覧会の周辺でパビリオン「学術人類館」が設置され、アイヌ・台湾高砂族・沖縄・朝鮮・清国、トルコ・アフリカなど合計32人の人びとが、「展示」された差別事件。