現代中国政治の研究者、加々美光行さんの講演会が、2月27日、京都市内で開かれた。主催はルネサンス研究所・関西。

 講演では、中国が抱えている2つの矛盾が今後どのような形であられてくるのか。それを中華人民共和国成立後の歴史的な経緯をたどりながら明らかにされた。

 中国2つの矛盾とは「一党独裁・終身制」と「経済大国」とのあいだの矛盾と、「政治の遅れ」と「経済の大躍進」のあいだの矛盾である。こうした政治と経済のねじれの始まりは、1978年に復権した�ケ小平による改革開放路線だった。

 それは資本主義と社会主義の併存を意味しており、その後の「一国二制度構想」の端緒でもあった。82年12月、中国は個人独裁を否定し、最高指導者の終身制を廃止する「八二憲法」を制定し、民主化へ踏み出した。

 しかしそれは、89年6月4日の天安門事件の勃発によって打ち砕かれた。

 そして2012年に習近平が党総書記に就任すると、個人独裁の復活へ道が開かれる。18年には、終身制を再導入した。

 中国は5年後年には、GDPで米国とならぶだろう。共産党一党独裁でありながら、世界一の経済大国になろうとしている。これは歴史的に未曽有のことだ。

 米国は中国が自身を追い越すことを座視することはない。一方中国は、米国との対立が深刻化することを嫌って譲歩する可能性もあるが、選択肢は多くない。ウイグル、チベットの紛争が焦点化する可能性もある。加々美さんは、「今後の世界の焦点は米中対立となっていくだろう」と結んだ。