コロナ禍で免疫力に関心が高まっているが、ヒトは驚異的な免疫システムを持っている。ウィルスや細菌は、生命の長い進化の過程で、この形成に深くかかわってきた。
免疫とは、さまざまな病気を避け、恒常性を保ちながら健康を維持するシステム。その機能はふたつある。
一つは、異物・不要物を見つけ排除すること。もう一つは傷んだ個所を修復すること。免疫システムは、自然免疫と獲得免疫という、2つの細胞防御機構で構成され、体の各細胞・組織・器官などに連携している。
自然免疫は外敵に対する第一の砦、獲得免疫は第二の砦だ。自然免疫が、感染や発症を防いで体を守るの。同時に、獲得免疫は、自然免疫とともに抗体をつくって外敵を撃退、感染を終息させ、同じ体の中で病原体が再び活動できないようにする。
赤ちゃんは分娩時に、羊水内の、常在細菌の基礎となる細菌を飲み込みながら生まれ、生後1年ほどで、百兆個を超える細菌の生態系を体内に抱えるようになる。それが母から子へと数百万年くり返されてきた。
ところが、ここ数十年の間に、帝王切開や抗生物質を乱用してきた。山本太郎教授は、これがヒトの体内生態系や免疫系をかく乱していると警鐘を鳴らす。免疫系の暴走にかかわる病を急増だ。
抗生物質とならんでワクチンもここ数十年で飛躍的に開発され、使用されてきた。アメリカでは6歳までの子どもへの接種は36回(2011年時点、アメリカ疾病予防管理センター発表のスケジュール)。生まれたばかりの赤ちゃんに16種類ものワクチンを接種する。
日本でも学齢期までのワクチン接種は定期、任意あわせて10種超。
続々と開発されるワクチンは、ヒトの免疫システムをかく乱しないのだろうか? 製薬大手も政府も医療界も、「そんなこと、知ったこっちゃない」だから、心配の種はつきない。(つづく)