4月28日、福井県の杉本知事が運転から40年を超える老朽原発である関西電力高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働について同意した。関電は、美浜3号機を、早ければ5月末から6月上旬に再稼働しようとしている。

▼1基25億円の追加

 昨年末、杉本知事は「中間貯蔵施設県外候補地が示されなければ40年超え原発の議論に入れない」としていた。今年2月12日、関電・森本社長と経済産業省資源エネルギー庁・保坂長官が杉本知事と面会し、「2023年末までに中間貯蔵施設の県外候補地確定に最善を尽くす」と約束。杉本知事はこれを「議論の入り口に立った」と評価した。しかし、知事発言に反発する県議が多く判断は見送られていた。

 4月6日、経済産業省は老朽原発再稼働で交付金を拡充し、1原発につき25億円を新たに支払う支援策を提示。23日の福井県臨時議会では再稼働に反対や慎重な議論を求める請願59件をすべて不採択、賛成の請願1件だけが採択された。

 27日午後、杉本知事と関西電力森本社長が面談。夕方には梶山経産相がオンラインで杉本知事と会談し、先述の交付金を提示。持続的に原発を活用する方針を打ち出した。使用済核燃料中間貯蔵施設の県外候補地についても、「国が関電とともに最善を尽くす」と約束し、28日同意となった。

 こうして関電と国は、福島原発事故後に定められた「40年ルール」(注)を、なし崩しにしようとしているのだ。

▼原子力は脱炭素?

 昨年10月26日、菅首相は所信表明で「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)」宣言を行った。この中で「省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策をすすめる」とした。この発言に加藤官房長官は、28日、「現時点で政府として原子力発電所の新増設、リプレイスは想定していない」と打ち消しに回り、同日、菅首相も衆議院本会議の代表質問で「徹底した省エネ、再生エネの最大限の導入に取り組み、��原発依存度を可能な限り低減する�=vと言い換えた。

 だが、昨年12月の政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では「原子力は確立した脱炭素技術」「引き続き最大限活用していく」としており、次世代炉の開発についても記されている。

 今年4月22日、気候変動サミットで菅首相は「脱炭素のリーダーシップをとっていきたい」と、30年度に温室効果ガスを13年度比で46%削減すると発言した。この削減計画が老朽原発再稼働、次世代炉の開発を後押しするのは間違いないだろう。

 だが福島第一原発事故に明らかなように、原発は人間が制御できるものでない。老朽原発再稼働は西日本が壊滅するほどの事故を引き起こすかも知れない。2030年中には全国15機が老朽原発になる。高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働はその先がけだ。何としても止めなければならない。

(注)「原発の運転期間は原則40年」とするルール。東京電力福島第1原発事故を契機に、老朽原発を運転させないという趣旨で、原子炉等規制法の2012年6月改訂により導入された。