
▽胸が痛み、怒りに
16年4月に、うるま市で若い女性が米軍関係者に殺された事件がありました。そのとき、日本中の人たちが怒り行動するだろう!と思ったら、そうではなかった。とはいっても、私自身も国会包囲行動に一度参加したくらいでした…。
沖縄では県民大会が開かれ、怒りが満ちていました…。事件の5月、私は沖縄平和行進に参加していました。20歳の女性がウォーキング中に…レイプされ、首を絞められ雑木林に捨てられ…白骨化して見つかったのは5月19日。あの暑い沖縄、あの湿度を今も思い出し、苦しくなります。一生この事件を歌い続けると、決めています。
今、これを書いていても、あの事件の悲惨さ惨さ、彼女のことを思うと胸が痛み怒りにかられます…。 米軍属にレイプされ、刺され、首を絞められ…殺害される…遺体は雑木林のなかで白骨に近い遺体で発見された。そんな事件が起こる沖縄…。
沖縄県警の立場もまた、私には衝撃でした。「米軍の犯罪ではないか」と疑いが出ても、日本の警察である沖縄県警には米軍から情報は得られるはずもなく、情報のない中で川や森等捜索できる場所を探っていたことを聞きました。犯人が米軍関係者だと報道されたのちも、沖縄県警の若い警察官たちは辺野古に座り込む人たちをごぼう抜きし、職務をまっとうせねばならない。理不尽を感じるなかでも仕事をせざるを得ない…あんな事件があっても、工事はアメリカの基地建設に向き続けている。
あの事件当時、私だけでなく、この事件に苦しむ人々みんなが、この現実と、工事を施工していく力に怒りしかなかったと思います。そしてこの事件は、いつなんどき今も、沖縄で起こるかわからない、ということ。日本が、戦争への体勢を強くすればするほど、国どうしの緊張は高まり、米軍の緊張も比例して上がっていくだろう、そんななかでまた沖縄で同じことが起こらないとは言えない。日々とても危険だと思います、本当にもっと多くの人が考えなければならないことです。
▽コロナ禍のいま
沖縄のことや、反原発、「戦争はアカン」とか「座り込み」とかいう言葉とともに、私に対して反感をもつ人があります。現実に会って言われることもありますし、ネットに悪く書き込まれたりもします。
そういう人との会話をどう受けとめるか、どう話すかも大きな課題であります。行き着くのはいつも、「引き出し」を多く持っておきたい、ということです。学びは、切り替えをくれます。そして私は歌い手ですので、ピアノをさわったりギターを練習したりして、切り替えてきています。
コロナ禍の今、出演は減りましたが、これを機会に本を読み、楽譜をつくり、ギターも基礎をもう一度習いに行っています。学びは最大の武器、そして歌は特別に大切な最高の武器だよ!と、伊江島『わびあいの里・ぬちどぅたからの家』の謝花さんから教わったことが、とてもとても大きな力になっています。
(つづく)