緊急事態宣言が延長される中、6月5日「2021年高校教科書採択全国集会」がオンラインで開かれました。高校教科書の採択状況と維新政治の下で危機に瀕する大阪の教育について報告されました。
最初に「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」共同代表の上杉聡さんは、「愛国心を強制するような教科書を子どもたちに渡さない取り組みをさらに強めていこう」とあいさつ。
▽学校も家庭も大混乱
緊急事態宣言下の大阪市では、松井一郎市長(日本維新の会代表)のパフォーマンスに振り回された大阪市立学校の状況が報告されました。
松井市長は、市教委の頭越しに「原則オンライン授業」方針を打ち出し。2限目までオンラインやプリントで自宅学習をおこない、4限目のみ教室での「指導」、給食を食べて帰宅するというもの。これに学校も家庭も大混乱でした。
また社会見学や修学旅行などの学校行事は制限される中で、5月27日、全国学力テストが実施されました。小学5年生には大阪府の統一テスト「すくすくウォッチ」を実施。今後のスポーツテストも通常通り実施する予定です。
大阪市教育委員会は、「原則オンライン」期間の授業時間の穴埋めをするため、「1日7時間授業」や「土曜授業」を学校に強制しようとしています。子どもと教職員の疲弊がさらに拡大する懸念があります。
タブレットを子どもたちに配布したら、すぐにオンライン授業ができると思っているのでしょうか。小学校の低学年では、対面授業でも一度で理解するのがむずかしいのです。それがどうしてオンラインでできるのでしょうか。子どもと一緒にオンライン授業を受けて「わからなかった」という保護者がたくさんいたようです。
▽現職校長が市長に提言
こうした状況下で、大阪市立木川南小学校の久保敬校長が、松井市長あてに、「大阪市教育行政への提言 豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」という提言をしました(5月17日)。現職校長の勇気ある提言です。
この提言に、大阪市教委は5月19日、久保校長を呼び出し、事情聴取しました。5月20日の大阪市会教育こども委員会では、大阪維新の会の杉村幸太郎委員がこの件について質問。事務局は、一般論として大阪市職員基本条例4条、地方公務員法33条による懲戒処分の可能性もあるとしました。松井市長はこの日の記者会見で、「社会人として外に出たことがあるのか」「ルールに従えないなら組織を出るべきだと思う」など、久保校長を誹謗中傷する個人攻撃を繰り返しました。
▽「教育はコモンです」
ただちに「久保校長を処分させてはいけない」との声が一斉に上がりました。木川南小の校門には激励のリボンが結ばれ、多くの応援電話やファックスが届いています。
久保校長は木川南小のホームページ次のように述べています。「教育は『商品』ではありません。教育は『コモン』です。つまり、私たちの『共有財産』です。子ども、教職員、保護者、地域が一緒になって作り出していく、生きていく過程そのものだと思います」(5月27日)
「久保校長の処分させない」という声を広げ手ください。松井市長と維新の会の理念のない教育政策によって、これ以上、子どもたちを犠牲にしてはなりません。
(佐野裕子)