
市東さんの農地をめぐる請求異議裁判で、6月8日最高裁は、上告棄却の決定をおこないました。
控訴審判決(昨年12月17日)からわずか6カ月、1回の審理も開かないどころか、上告を受理もせず棄却するという、文字通りの門前払いの上告棄却決定です。
市東さんの農地は、市東家が親子3代100年にわたって耕作を続け、土地収用法による強奪もはね返し守ってきました。いまも有機農法による安全・安心な野菜を生産し、産直運動を通して都市住民との生きた交流を続けています。市東さんは「私にとって農地はいのちです」「1億8千万円の補償よりも、1本100円の大根を消費者に届けて喜んでもらいたい」と訴えてきました。また本訴の農地法裁判にあたっては「100年に及んで何の問題もなく平穏に農業を営んできた私が、なぜ罪を犯したかのように被告席に立たされねばならないのか」とも。最高裁は、本訴の農地法裁判に続いて2度も、市東さんの訴えを問答無用と門前払いしたのです。
市東さんの「これからも天神峰で耕し続ける」(昨年の控訴審判決後のあいさつ)という思いに変わりはありません。
▼耕作権裁判の遅延
裁判はこれで終わりではありません。市東さんの農地をめぐる耕作権裁判(成田空港会社が市東さん農地の一部を「不法耕作地」として訴えている)は、2006年のNAAの提訴から15年、未だ千葉地裁(一審)での審理が続いています。NAAは過去の文書偽造などの不法行為を隠ぺいするために再三にわたる文書提出命令を拒否しているためです。
またコロナ禍で口頭弁論・審理もまったく進んでいません。審理が進めば、NAAの不法不当違法の農地強奪の実態がいよいよはっきりします。このような状況下で、強制収用・強制執行を急ぐなど許されません。
また、成田空港会社(NAA)が対象の農地内に建てられた立看板やヤグラの撤去を求めている裁判(新やぐら裁判、被告反対同盟)では、千葉地裁が重要証人(市東さんの用地の買収にあたったNAA職員3人)を拒否したまま、昨年8月不当判決(仮執行は付かず)を強行しました。
この裁判の控訴審は5月の予定でしたが、緊急事態宣言で取り消され、7月28日が指定されました。重要証人の採用をはじめとした事実審理が必要です。(野里豊)