京都帝国大学助教授だった金関丈夫が、戦前、沖縄県今帰仁村にある百按司墓から盗掘した琉球人遺骨が、いまも京都大学博物館に保管されている。この遺骨の返還を求める裁判の第9回口頭弁論が5月21日、京都地裁の大法廷で開かれた。
京都大学の人骨標本台帳には、金関は盗掘した遺骨の記載がない。そのため裁判所が保管状況について報告を求めていた。今回、京大は初めて遺骨を保管している箱の写真を提出した。箱に貼ってあるラベルの文字が読み取れないため、そこに遺骨が保管されているかどうか確認できなかった。そのため、裁判所はラベルと遺骨の写真提出を京大に求めた。
京大が提出した準備書面では、「今帰仁上り」を知らないと書いている。これは琉球について研究しているのならばありえないことである。遺骨を本来の人骨標本台帳に記載していないことも合わせて考えれば、京大は90年以上も琉球人の遺骨を保管しておきながら、何の研究もしていない。直ちに返還すべきだ。
次回、第10回口頭弁論では、今年3月、弁護団と支援者が撮影した百按司墓などのビデオが法廷で上映される。また第11項答弁路では、原告の亀谷正子さんと松島泰勝さんの証人尋問が行われる。裁判はいよいよ大詰めにはいった。
第10回口頭弁論
8月27日 午後2時半
第11回口頭弁論
10月29日 午前11時
いずれも京都地裁大法廷。