▽熱帯雨林の破壊

 遅々として検査さえ進めなかったこの国が、オリンピックごり押し開催にむけワクチン接種を急加速している。対象が子どもにまで拡大された。ちょっと待って。いったいどんな治験をやったというのだろう。「ワクチンはラストステージ、普及すれば集団免疫が獲得されコロナ禍は収束」という、菅首相の信じ込むシナリオを安易に信じることはできない。

 新型コロナなど新型感染症は2000年以降に多発してきた。地球規模での環境破壊、中でも熱帯雨林破壊により奥地に安住していたウイルスが文明社会に入りこむ機会が増大してきた。木材伐採、鉱物採取、パームオイルや天然ゴム生産。さらに大量肉食という食生活が家畜の大量飼育空間を確保するために熱帯雨林を破壊している。新自由主義的生産、生活のあり方、価値観の根本的な変革へと向かわない限り、パンデミックはくり返し襲ってくるだろう。

▽危険なゲノム編集

 天笠さんはゲノム編集の危険性、規制の強化の必要性についても強く訴えている。2012年に登場したゲノム編集技術は、他の生物種の遺伝子を組み込む遺伝子組み換え技術とは異なり、全遺伝子を自在に操作する技術だ。1980年代、ヒトゲノム計画が始まり、当初、12万個以上と想定されていたヒトの遺伝子数は2万2000個しかないことが解明された。この遺伝子(本体がDNA)にのっかった遺伝情報は《DNA→mDNA(コピー)→アミノ酸→タンパク質》という流れで、生命体に必要なものをつくりだしている。生命体はバランスや調和で成立している。例えば、成長を促進する遺伝子があれば必ず抑制するものがある。DNA制限酵素(いわばハサミ)で特定のDNAの目指す部分を切断して、このバランスを意図的に壊すのがゲノム編集だ。豚から成長を促進する遺伝子を切りとるとマイクロ豚が誕生する。すでにペット豚として販売されている。他方、抑制遺伝子を切断すると数百キロの巨大な豚が生まれる。切断されたDNAは自然修復し、そのあとに他の遺伝子を組み込むところまで技術は進歩してきた。

 遺伝子組み換え技術と比べ、安全性評価など無視した形で進歩してきた。自由自在にDNAそのものを操作し、存在しなかった微生物やウイルスが大学由来のベンチャー企業や研究機関で野放図につくられている。その詳細な実態は明らかでなく、流出や拡散を防止する規制はない。ゲノム編集技術はワクチン開発の驚異的なスピードアップを促進してきたと同時に、新たな感染症を発生拡大させていく危険性をはらんでいる。

 根本的にはワクチンでは対決できない新型感染症パンデミック。根本的解決の方向性を見据えた社会変革を求めていきたい。(つづく)