広島原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」にあい、国の援護対象区域外として被爆者健康手帳の交付を受けられなかった人たち。広島県内に住む84人(7月17日に原告1人が亡くなり、15人が死亡)が、被爆者健康手帳の交付を求めた控訴審判決で、広島高裁は「原告全員を被爆者」と認定した一審広島地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却、手帳の交付を命じた(7月14日、西井和徒裁判長)。

▽歓声 涙ぐむ原告

 「8月6日」の朝のように、照りつける日差しの中。広島高裁正門前で待ち受ける原告や支援の人たちに、傍聴者が法廷から走って来る。「走っている!」「勝ったか!」と声が上がる。「全面勝訴」広げられると大歓声が上がり、涙ぐむ原告ら。

 訴訟で重要な決定的な意見陳述を行なった証人の一人、沖縄から駆けつけた矢ヶ崎克馬・琉球大名誉教授(物理学)、原告で『黒い雨』訴訟を支援する会事務局長の高東征二さん(80)は、「ほんと、ギリギリのところ(区域)の人たちがいっぱいおるんです。原告じゃなくて原告のほかに。もう、病気だらけの人生を送って、この裁判を見守っている人がたくさんいます。そういう人たちも早く助け上げて欲しい。道を開けて欲しい」と訴えた。

▽一審より踏み込み救済

 広島弁護士会館に移動し、報告集会が開かれた。原告や弁護団、支援団体など約150人が集まった。竹森雅泰・弁護団長は「一審広島地裁判決をさらに補強した、画期的な判決」と評価した。内部被曝の健康への影響が科学的に未解明な点を考慮し、被爆の可能性がある人は広く救済する必要があると示した。「黒い雨」被害に長い間苦しんできた人も、救済の道が開ける可能性が出てきたのである。

 原告団長の高野正明さん(83)ら原告からの喜びの発言が続き、最後に弁護団と原告団が正面に集まり、「頑張ろう!」と声を合わせた。

 今回の広島高裁判決は、原告全員を被爆者と認めた一審広島地裁判決から、さらに踏み込んで「黒い雨」を浴びたりしたが、「いわゆる特定11疾病を発症していない人も被爆者と認める」という新たな判断を示した。

 国は「黒い雨」にあった人を被爆者として認定する要件として、�@援護対象区域内で雨にあう、�Aがんや白内障など特定11疾病を発症という2点を求めている。

 広島高裁判決は、「井戸水を飲むなどによって内部被曝による健康被害を受ける可能性があった」と指摘し、区域の内か外か、特定11疾病を発症しているか否かは問わず被曝した可能性があれば積極的に認定するように国側に求めた。