—沖縄がまだ日本でなかった頃に起きた、落語のようなホントの話。ひとりの魚屋のおばぁ、玉城ウシが、統治者アメリカに喧嘩を売った。「サンマに払った税金、全部返せ」さあこれが、沖縄の戦後史に燦然と輝く、世にも奇妙な「サンマ裁判」— この謳い文句に、心ざわめいて、コロナ禍で1年もご無沙汰していた映画館にでかけた。ナビゲーターのうちな〜噺家・志ぃさーさんの絶妙な語りと、川平慈英さんのナレーションで、なに?えっ?と笑いを抱えつつ、つんのめるように沖縄戦後史に引きずり込まれる。腸煮えくり返るようなことがこんなにあって、あんな人、こんな人がいて、たたかって来たんだ。おばぁは強情(ガージュー)でたくましい。だから沖縄は毅然としてるんだ。面白くて時々じわーっと涙が滲み、「肝(チム)どんどん」(胸がドキドキ)になる。

 ウシさんのたたかいは人々を揺さぶり「復帰」運動の爆発につながっていく。だがその「復帰」とは何なのか。日本政府が米軍に替わっただけ?銃剣で住民を威嚇する米軍の映像と、辺野古で機動隊が座り込むおじぃ、おばぁを排除する今が写される。来年22年5月15日は「沖縄の本土復帰」50周年。沖縄では7月に公開されて大人気だという。ヤマトでもヒットさせたい。 監督・山里孫存(まごあり)さんは数々のドキュメンタリーを手がけてきた。制作・沖縄テレビ。上映情報は公式ホームページで。(蕗)