8月19日、沖縄のコロナ感染者は768人でした。沖縄の人口は約140万人、東京都と比較すると10分の1です。10倍すると東京では7680人に匹敵します。どうでしょうか。沖縄の感染者数の多さがわかります。このような最悪の状態が長く続いており、市民生活に悪影響が出ています。

 原因を知りたくなります。県は「来県を控えて欲しい」と言っています。主要航空各社の発表では、8月6日から15日までの間、沖縄発着の旅行客は前年同期比32・6%増の約24万人だったそうです。往復だから半分としてみると、10日間で12万人が訪れたことになります。県民関係者の帰省は旧盆と予想されることから、12万人はほぼ本土からの訪問客でしょう。

 普通なら歓迎すべきことなのに、コロナ禍にあっては複雑な思いです。県のアンケートでは、来県者の71%が観光、ビジネスが29%。事前にPCR検査を受検した人は47%、半分以下です。これでは無症状の感染者が来県し、広がったと考えてもおかしくはありません。観光客を受け入れる大規模施設は休業中です。観光客は、どこへ行くでしょうか。ホテル宿泊で海のレジャーや、いわゆる夜の街に出ることも考えられます。

 観光客は、離島にも行きます。最西端の与那国島(最南端は波照間島)。5年前に自衛隊基地が出来ました。島には、隊員と家族200人以上が移住、1500人だった人口は約1700人に。自衛隊関係者は人口の約12%を占めます。診療所一つしかない小さな島で、今月38人のコロナ患者が出ました。家族は、行き来する「観光客」とカウントされます。200人の自衛隊関係者と関係ないと言い切れません。

 八重山の石垣市(人口約4・8万人)に病院がありますが、石垣市も直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は288人ほどになり、全国ワーストの沖縄県を上回っています(八重山日報)。病院も余裕がありません。島は今、自衛隊基地を建設中。工事現場は、本土からも人がきているはず。辺野古がそうですね。本土の警備会社や大手元受け会社社員、防衛局員ら。その人流が生まれています。

 人口5万4000人の宮古島ではどうでしょうか。直近1週間の人口10万人当たりの新規陽性者が444人ほど。沖縄県内でも突出しています。ここも最近、自衛隊基地が出来ました。700人が配置され、将来的には800人規模になる予定です。家族もいます。沖縄防衛局が、陸自訓練施設の工事関係者に12〜16日8人の陽性者が確認されたと発表しました(8月17日)。

 沖縄県に配備されている自衛官数は、約7700人(19年)。家族数は分かりませんが、そのほとんどが沖縄本島にいます。これらの人流は、南西諸島を軍事要塞化しようとすることから生まれたものです。

 もちろん米軍がいます。軍人、軍属、家族は約4万7千人。日米地位協定により、米軍は国の検疫所を通らず基地から基地へ移動します。家族が基地外に住んでいます。軍人から家族へ、家族から市中に感染も考えられます。沖縄での感染者が多い一端は、「無用な人流」にあるでしょう。(富樫 守)

 (前号、「具志堅さんたちの8月15日…東京での訴えはコロナで中止」は編集の誤り、実施されました。お詫びし訂正します)