京都大学が戦前、沖縄県今帰仁村にある百按司墓から盗掘した遺骨の返還を求める裁判の第10回弁論が開かれた。(8月27日、京都地裁)。百按司墓を現地調査したビデオが法廷で上映された。京都大学側は遺骨の保管・管理写真の提出した。

 18年12月に始まった訴訟で、原告弁護団は次のの二つを主張してきた。第一に、百按司墓の現地調査をおこなうこと。第二に、京都大学博物館の現場検証を行い遺骨保管状況を調べることだ。

 原告・弁護団は第13準備書面で、「祭祀承継者1人」とする京大の主張は琉球・沖縄の慣習になじまないことを明らかにした。「大和(日本)は墓が長男から長男へと受け継がれ、次男は分家し新しい墓をつくり細分化していくが、琉球では一族、門中、共同体で墓を管理していく。琉球の文化、慣習を大和の法律で踏みにじることはできない。国際人権法の発展、先住民族の権利宣言に踏まえるべき」なのである。

 芥川賞の作家の目取真俊さんは、「今帰仁村の運天にある墓の近くの村で育った。自分たちにとって墓とはどういう意味を持っているのか、村全体を囲むようなととろにあって、風の防波堤なり暖かく村人を見守るような存在として墓がある」と映像で証言した。映像は10分。書面にし、裁判所に提出した。

 原告団長の松島泰勝さん(龍谷大教授)は、「最近京大の遺骨研究者に面談を求めたが断られた。次回の証言で二つ訴えたい。一つは、琉球人研究者である私がなぜ琉球人の奪われた遺骨について質問することも、見ることもできないのか。もう一つは、京大にある遺骨を見分するのは先住民族の権利だということだ。アイヌ民族の人たちと共に国連・先住民族部会で琉球民族への差別を訴えてきた。国連は、琉球民族は先住民族であるという勧告を出しているが、日本政府はこの勧告を無視している。世界3億人の先住民族の応援があると考える。10月裁判の支援を」。

 次回10月29日、亀谷正子さん、松島泰勝さんの尋問が行なわれる。1月末の最終準備書面提出で結審し、2カ月後ほどで判決の見込みだ」と話した。次回は10月29日、京都地裁。(高崎庄二)