2019年7月参院選挙の投票を呼びかける市民連合にいがたのポスター

新潟では市民連合が国政選挙や知事選でめざましい勝利を収めている。「新潟の奇跡」と呼ばれる快進撃はどのようにして生まれたのか。「市民連合@新潟」の共同代表で新潟国際情報大教授の佐々木寛さんが9月19日、滋賀県人権センターで講演した。主催は9条改憲NO! 市民アクション滋賀

 佐々木さんは今日の世界の特徴を「グローバル化によって人びとが分断され、政治的公共性が弱体化している。世界中で民主主義が危機に陥っている」ことだと指摘。とりわけ日本は「客観的知識や科学に基づかない政治がまかり通っている」と分析。その原因は、「戦時中の『日本精神』(無責任、非科学、非道徳)がよみがえっていることにある」という。

 ジェンダーギャップ指数世界120位の日本はもはや先進国とは言えない。経産省が追求するのは「オリンピック、万博、カジノ、リニアモーターカー、高速道路、原発といった昭和のオヤジの夢ばかり」。「これでは経済産業破壊省だ」と手きびしい。

 「新潟の奇跡」は、2016年から始まった。市民連合を結成して政策協定を結び、その年の参議院選と知事選に勝った。

 これは、観客民主主義から参加民主主義への転換だ。中央集権・地域分断型社会から地域分散・ネットワーク型社会への転換である。新潟は自民党も強かったが、社会党も強かった。生活を守る保守とつながることが大切だ。17年衆議院選は4勝2敗、19年参議院選は市民連合候補が当選した。

 平和と民主主義の下部構造をつくるうえで重要なのはエネルギーデモクラシー。エネルギーを地域分散型にして、コミュニティーパワーをつくりだすこと。

 講演の最後に佐々木さんは「市民社会の国境を越えた協力関係によって、コスモポリタン民主主義をつくろう。東アジア自然エネルギー共同体をつくろう」と呼びかけた。

(今津悠二)