
市民の声を市政にと「無所属・市民派」として神戸市議選に立候補する(19年4月)。約9万世帯の垂水区内を1年余かけて回り、初当選した。その後、すぐにコロナ感染の拡大という事態に直面。コロナ対策を中心に話してもらった。(聞き手/本紙編集委員会)
——議員活動の1年目から「コロナ対応」という未経験が重なりました。
▽コロナ禍のもと議員活動
高橋 コロナ対応は経済面も大事ですが、まず医療対応ですね。いま、健康局、福祉局、環境局を担当する福祉環境委員会に所属しています。昨年3月から、神戸でもコロナ感染が出ました。
人工透析の医師に聞くと、「透析患者がコロナに罹ると、週3回の透析を一般患者と一緒に受けなければならない。感染防止のためコロナ専門病棟が必要」ということだった。
健康局を所管する高橋の責任で会派要望をまとめ、提出した。市は「検討する」とし、中央市民病院に臨時病棟をつくることになった。複数の会派からも同様の要求が出され、医師からも直接に市に意見があった。その結果、11月に専門病棟が実現できた。これが、第1波のとき。
その後、8月に第2波となった。検査の拡充を多くの人が求めているのに、国がいっこうに進めない、市も拡大しない。クラスターになる可能性が高い高齢者の入所施設など、計画的予防的検査が必要だった。
委員会理事に働きかけ、健康局単独の福祉環境委員会を開催。直前に、厚労省が控えめに出していた「社会的検査が必要」の項を見つけ、質問。担当者も知っており「検討する」と前向き答弁になった。「検査が大事」という一般的な質問ではなく、具体的事実、根拠を示すことが大切だった。
——その後のPCR検査の問題など、どうだったのでしょう。
▽N95マスクが足らない
高橋 最初は高齢・障害の入所施設のみ月1回でしたが、対象を通所施設に拡大し、頻度も週に1回まで改善されました。神戸市も国と同額を負担しなければならず、一気には進まなかったが、一つ一つ要求し拡充していきました。
次は11月からの第3波でした。第1波の後、私は、コロナ患者を受け入れている民間病院の看護師さんから「N95マスクが足らない、勤務ごとに替えなければいけないのに週1回の支給しかない」「一時金もカットされそう。なんとかしてほしい」という切実な声を聴いていました。
早くから調査を要求していましたが、秋に健康局が民間病院の状況調査を行ない、その後「マスク支給は改善されました」と看護師さんから連絡がありました。
年末一時金などは民間が決めることですが、市は11月議会で医療ファンドとして市民からの寄付に加え、4千万円の補正予算を付けた。その際、久元市長は「民間病院の約半数が一時金カットされるようだ。何とか支援したい」と本会議で説明しました。
——神戸市では、それをきっかけに改善されたのですか。
▽介護事業所から
高橋 少なくとも、市の担当者が問題を知るきっかけを作りました。ただし、寄付はすべてのコロナ対応の医療従事者に均等でなければという理由で、全員に1人1万円給付となった。それでも看護師さんは、「市や議員の人たちが、私たちの仕事を見てくれているんだ」と喜んでいました。
第4波のとき、介護事業所の方から「自宅療養者がどんどん増える。厚労省が介護事業所からヘルパー派遣できるよう通知を出した。神戸市はどう対応するのか聞いてほしい」と要望をもらった。常任委員会で福祉局に問いただしたところ、「すでに訪問看護ステーションから看護師派遣を始めている。それで対応していきたい。介護事業所にお願いしなくてもできる」という回答を引き出せました。
そして第5波。本会議質疑で市長に「神戸では第4波のとき自宅療養5人、宿泊療養1人が亡くなった。第5波で、その悲劇を繰り返さない決意を聞きたい」と質問。市長は、「高橋市議と同じ思いで頑張りたい」と述べました。市長選に向けたリップサービスかと思ったけど(笑い)、その後、健康局職員に聞いてみると、「感染判明後24時間以内に事務職員から自宅へ電話を入れる体制も、市長の提案であり本気だったと思う」と。もちろん、本会議の場で表明したことは重要だった。
宿泊施設の入所者について神戸市は、「軽症で入院の必要がない人」を対象としていた。私は、「宿泊施設は看護師さんが常駐し、状況把握ができる。自宅療養だと家庭内感染も拡がる。無症状者をもっと受け入れるべき」と言ってきました。
第5波になり神戸市は方針を転換、3カ所300人から5カ所600人体制に宿泊施設数を増やし、毎日医師が巡回診察し状況把握できる体制とした。さらに「無症状者も入所対象に」と要求し、対象を「家庭内感染の恐れがある無症状者」に拡大することになった。(つづく)