
昨年7月、サンケン電気は、100%出資の韓国サンケンの会社解散・全員解雇を突然強行した。以来、韓国サンケン労組を支援する取り組みが韓国と日本で続いている。日韓連帯の労組闘争となっている。
▽尾沢さんの即時釈放を
支援行動は毎月とりくまれている。10月17日には、大阪ユニオンネットワークと韓国サンケン労組を支援する大阪市民の会がサンケン電気大阪支店前で抗議行動。約60人が集まった。「韓国サンケン解散反対! 解雇撤回! 尾沢さん釈放!」のコールが西梅田ビジネス街に響きわたる。韓国サンケン労組を支援する会の事務局次長・尾沢孝司さんは、今年5月、埼玉県新座市のサンケン電気本社前で不当逮捕され、5カ月超える長期勾留が続いている。露骨な見せしめ弾圧だ。
▽サンケン電気とは
サンケン電気は、朴軍事政権時代の1973年、馬山自由貿易地域に設けられた特区に進出。労組結成の制限、地代、法人税・所得税・関税等の大幅減免、低賃金労働、輸出手続きの簡素化などの「破格の条件」に飛びついたのだ。以降、87年の民主化まで「韓国は企業の楽園」と搾取と収奪をほしいままにし、そこで得た莫大な利益によって業界8位のグロ—バル企業にのし上がった。
96年、サンケン労組が民主労総に加盟するや組合攻撃が始まり、インドネシアへの移転、3回の事業部の廃止、7回のリストラが続いた。16年には、組合員全員が整理解雇。その際は、日本への「遠征闘争」も行なわれ、現職復帰を実現させた。
今回の廃業・解雇攻撃は、当時の協議合意約款を無視した、組合破壊目的の偽装廃業であり、別会社に生産させるなど不当労働行為そのものである。コロナ禍で日本遠征闘争ができないことを見越した悪質なものだ。韓国の中央および地方労働委員会は和解勧告を出している。
▽国際問題に
韓国では大きな社会問題となり、慶尚南道知事、道議会、昌原市長・市議会、13名の与党国会議員が日本のサンケン本社、外務省、厚労省、経産省に廃業撤回を求める書簡を送った。国際問題に発展しているのに、政府や本社は完全に無視をきめこんでいる。
韓国サンケンの組合員らは、昨年から韓国工場前にテントを張り、座り込みを続けている。日韓労働者の連帯で、事業再開と解雇撤回を実現するためにともに闘おう。(石田)