
三里塚関連の裁判も次々と再開されている。
10月20日には、新やぐら裁判・控訴審(東京高裁民事2部)の第1回口頭弁論が開かれた。市東さんの農地にある反対同盟のやぐらや看板の撤去を求めて成田空港会社(NAA)が起こした裁判である。裁判の開始にあたって反対同盟と弁護団は、2時間に及ぶ一審不当判決を批判・反論する弁論を陳述し、徹底審理と敵性証人(NAA元役職員)を含むすべての証人の採用を強く求めた。渡部裁判長はこれには答えず、年内の進行協議と次回裁判期日(1月19日)を一方的に告げ、裁判は終了した。今後、審理継続・徹底審理を求め攻防が続く。
また12月6日、実質2年間にわたって審理が停止していた耕作権裁判が再開された。100年にわたって耕してきた市東さんの農地(の一部)を「不法耕作地」と言いがかりつけて奪う裁判である。
裁判開始から15年。旧地主から「買収した」とされる市東さんの耕作地の地籍さえ、いまだに確定できていない。NAAは明け渡しを求めながら、どの土地をどのように取得したのかを記した交渉・記録文書の提出をかたくなに拒否しているためである(裁判所から「文書提出命令」も出されている)。
12月6日の再開された裁判は、陪審裁判官の交代に伴う更新意見陳述であったが、当該の市東孝雄さんは改めて親子三代にわたって耕作してきた農地を守っていくとその思いと決意を表明した。
裁判は、これから証拠・証人調べへと進んでいくが、市東さんの耕作地を違法・不法な手だてで旧地主から「買収」しだまし取った経緯と事実を徹底的に明らかにすることである。(野里 豊)