
▽沖縄を戦場にしない
那覇市内で「台湾有事」と自衛隊の「南西シフト」を考えるシンポジウムが開かれた(12月19日)。沖縄平和センター顧問の山城博治さんが「沖縄を戦場にしない県民の会」立ち上げを提案した。馬毛島、奄美、沖縄島、宮古、石垣の南西諸島に自衛隊の軍事基地が建設されている。迎撃、じつは攻撃と表裏一体のミサイルの狙いは、海の向こうに向けられる。台湾をめぐる米中対立に、自衛隊の基地が使われるのか。
安倍政権は戦争を放棄する憲法を勝手に解釈変更し、安保法制を成立させた。米の言いなりなっているのが自公政権である。いくら配備しても、攻撃を受ければ島を守ることは不可能、島の人々は逃げられない。「相手」のミサイルは、私たちの頭上にも降りかかる。
シンポジウムでは、「台湾有事」は歴史的な背景や経済的な関係などから、米中両国、日本にとっても有益ではないと懐疑的な意見が出された。安倍・元首相は「台湾有事」を強調しつつ、石垣、宮古など南西諸島に自衛隊配備を進めれば、偶発的な衝突が起きた場合にもむしろ標的になる。
山城さんは、自衛隊配備について「急患輸送や災害救助とは分けて考えるべき。南西諸島を再び戦場にすることは断じて許せないという行動が必要」と、県民の会への賛同人を募り立ち上げたいと話した。
▽中国と平和的交流を
小西誠さん(軍事ジャーナリスト)は、「石垣、宮古など南西諸島への自衛隊配備は進行中だが、止めなければならないし、まだ止められる。政府は、国産トマホークを開発している報道もある」「日米軍需産業が、国防や防衛の予算を獲得するキャンペーンの側面もあるが、戦争につながる可能性もある。中国との平和的な交流が大事、台湾有事を起こしてはいけない」と述べた。
辺野古の基地建設と自衛隊は違う問題のようになっている。日米一体化がすすんでいるという問題意識が必要だとの意見も出された。
背景にあるのは何だろうか。12月1日、安倍元首相は講演で「台湾有事は日本有事だ。この認識を習近平・国家主席は断じて見誤るべきでない」と煽った。中国側は即座に反応し、垂(たるみ)中国大使を呼び出し「中国内政への乱暴な干渉だ」と猛抗議した。岸田首相は12月6日、所信表明演説で「新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を策定する」と表明。22日には、国家安全保障戦略の改訂について「いわゆる敵基地攻撃能力をはじめ、あらゆる選択肢を排除することなくしっかり議論していく」(読売国際経済懇話会)と述べた。
憲法「改悪ありき」の憲法審査会は認められない。私たちは、二度と沖縄戦を繰り返さない、戦争を起こさせない取り組みを強める。