訪問介護ヘルパーとして働いている。利用者さんに「あけましておめでとう」という年始のあいさつが、とても言いづらいときがある。ご本人が経済的に困窮し社会的に孤立し、身体的にも肉体的にも傷ついておられる場合、うわべの挨拶がひどく浮いてしまうからだ▼近年、年末年始に家族が訪れない、家族が迎えにこないケースが増えている。従来は「お正月くらいはいっしょに」と気を使う人が少なくはなかった。社会の貧困化や「無縁社会」の深刻さが介護の現場から見えてくる▼加えて働く側の低賃金。年末年始を実質休み無しで働くヘルパーに事業会社が「おめでとう」を言わせるのは、たちの悪い罰ゲームのようだ。職場の同僚に年始の挨拶をどうしているか聞いてみると、やはり同じ悩みがあるらしい▼「おめでとう」を言えない利用者さんには、「昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします」と挨拶することにしている。ともあれ、本年もご愛読と協働を…。(柳)