「ふざけるな」。このひとことが、世の中を揺さぶっている。

 昨年12月15日、国は、近畿財務局職員だった赤木俊夫さんを死に追いやった責任を問う裁判を、「認諾」という手段で強制的に終了させた。それに妻の赤木雅子さんが満身の怒りを込めて発した言葉だ。

 23日夕、大阪の近畿財務局前に「森友問題を考える会」のよびかけで約100人が集まり、 怒りの声をあげた。「ふざけるな! 税金1億で疑惑をもみ消し」「赤木さんの死を無駄にしないで」などの横断幕や手作りのボードをかかげた。東京の財務省前でも同時行動が取り組まれた。

 森友問題を最初に告発した豊中市会議員の木村真さんは、「『認諾』という初めて聞くような方法で裁判終結をはかるのは、それほど隠したい真実があるということ。一億円は税金であり、卑劣そのもの」と怒りをこめて訴えた。その後も発言が続き、退勤する財務局の職員の手に次々とチラシが渡された。ほとんどの職員がチラシを受け取った。彼らは何を思っているのだろうか。

▽裁判は終っていない

 国の「認諾」に対し、世論は厳しい目を向けている。裁判は終ったわけではない。今後、ふたつの裁判が進められる。

 ひとつは、佐川宣寿元理財局長を相手とする裁判である。佐川は「公務員は個人の責任を問われない」とする準備書面を出している。公判は2月9日に開かれる。

 もうひとつは、財務省に対する「文書不開示決定の取り消しを求める」裁判である。雅子さんは、昨年春、財務省が大阪地検に任意提出し、「捜査終了」で返還されているはずの文書の開示を求めていた。ところが同省は文書の存否を明らかにしないまま、不開示と回答。これを不服として、昨年10月提訴した。第1回公判は1月18日に開かれる。

 裁判の進行は決して甘くはない。それを切り開くのは「世論」だと雅子さんの代理人弁護士・生越照幸さんはいう。「この問題は、しかるべき人にしかるべき責任を取らせるまで終わらない」(木村真さん)。「証拠開示を求める」署名(chemg.org)は1月5日現在で7万5000人に達した。(新田)