「正社員の休暇削減、日本郵政側が提案」(朝日新聞/1月7日)という記事が掲載された。反響は大きく、労働問題にかかわる人たち、郵政で働く人たち自身ほかツイッターなどに多くの投稿があった。ほとんどが日本郵政を批判する内容だ。こうした世論を、現場の労働者、組合のとりくみに発展させたい。(浅田洋二)

▽ささやかな前進

 労働条件の改悪案は主に4点ある。「非正規雇用労働者を3年で解雇できる制度の新設」「病気休暇30日まで無給化(現在、正社員の病休は有給)」「正社員の夏冬有給休暇の削減」「1月2日、3日の正社員への賃金割増廃止」である。

 最後の「割増賃金廃止」については、年末12月20日に撤回された。正社員は正月三が日に出勤すると、3日とも祝日扱いの割増賃金が支給される。とろこが非正規への割増賃金は元日だけだ。

 それが最高裁で違法と認定され、判決通りの格差是正が求められていた。郵政が9月に示した案では、正社員の割増を廃止する。それを原資に年始勤務手当を増額する(しかし、正社員と非正規の手当額の格差は現行より大きい)」というふざけた内容だった。

 今回、正社員の割増はそのまま、非正規にも同じ割増賃金を払うと認めた。この点は、ようやく非正規の待遇改善となった。

 「3年解雇制度」「病休無給化」「夏冬有休削減」の3点に批判が集まっていたが、「正月割増廃止」も「認められない」という声が大きくなってきた。そのため、会社もこれについては撤回せざるをえなくなった。しかし、この程度の改善でよしとするわけにはいかない。より重要な残り3点を撤回させ、本当の格差是正をかち取らなければならない。

▽組合が提案する内容か

  これら改悪案について現場では会社への怒りに加え、日本郵政グループ労働組合(JP労組)への怒りも大きい。JP労組が18春闘で不利益変更を積極的に受け入れたことへの不信感が渦巻いているのだ。

 「土曜休配で6日分の仕事を5日でやることになってしんどいのに、なんで休みを減らすのか」「これが労働組合が提案する内容か」という怒りの声があちこちから聞こえてくる。郵政職場では以前から「要員不足でしんどい」という声が一番多いのだ。

 「土曜休配」が始まり、労働密度が高まっている。組合側からの「休み削減案など認められない」と多くの労働者が思っている。18春闘での不利益変更で最も被害を受けた一般職が、その待遇の悪さから定着せず退職するという報告も少なくない。

 さらに集配現場では、Dcat(配達コミュニケーション支援ツール)が導入され、労働者はリアルタイムで監視されるようになった。今、どの建物の何階にいるのかさえわかる。

▽日常的な監視

 バイクの運転も自動的にチェックされる。会社は、表向き「支援」ツールと言っているが、イレギュラーな動きがあると徹底的に追及され、場合によっては処分にもつながっている。「郵便物の放棄・隠匿対策」と称して人権無視のロッカー点検が行われている。私物のバッグの中身を見られたというケースもある。

 郵政当局が労働者に絶えず疑いの眼差しを向け、監視と管理の対象としてしか見ていないことは明らかだ。こうした当局の姿勢が必然的に労働者間の分断、対立を引き起こしている。労働者どうしで互いに支えあおうという関係がと希薄になっているのだ。

 改悪案をはね返し、格差を是正させることは、労働者間の分断を乗り越え信頼と団結をつくりだすために、重要なとりくみとなっている。

(浅田洋二)