寝起きが悪かった1月24日の朝です。その3日前、21日付け朝日新聞の記事に「東京の高校生が辺野古を歩いて考えた」という記事がありました。昨年12月、2年生約20人が辺野古集落を訪れ、「移設賛成、反対」の2人から聞いた話をもとに、ディスカッションする授業のことでした。

 高校生たちに、移設に反対する住民団体の元代表の西川さんは「移設に反対し続ける覚悟だ」と言いつつ、「政治が決めたことは仕方がない」と話したそうです。移設容認の元商工会長の飯田さんは、「国の方針は止められない。ならば条件を付けて街づくりをするべきだ」と話す一方、「西川さんの気持ちは純粋。ぼくも純粋な気持ちでは反対だ」と語ったとのことです。

 今回の世論調査(名護市)での世論調査、朝日新聞・琉球朝日放送では54%が辺野古反対、24%が賛成。琉球新聞・沖縄タイムスの調査(名護市)では62%が反対、33%が容認となっていました。もし有権者が辺野古基地のことで投票すれば、結果は岸本候補に行っていたでしょう。そうならなかったのは何でしょうか。名護の有権者の多くが、飯田さんの言い分のように投票したのだろうと考えられます。

 現市長は移設容認の条件である再編交付金をもらっています。それゆえ、政治的判断で辺野古移設容認とは言わないのですが、容認です。現市長は再編交付金を受けとり、子育て支援などいろいろ市民に利益になったと宣伝していました。

 飯田さんが言ったのは、ここです。容認し政府からお金をもらい「生活を「豊かに」できる。 振り返ればオール沖縄の共同代表であった金秀の呉屋会長も、「辺野古反対の民意は県民投票で十分伝わっている。経済団体が長く政治のステージで闘うわけにはいかない。経済界に与えられた役割は、もっと沖縄の経済力を付けることだ」と述べオール沖縄から脱会し、今後は自民候補を応援すると言いました。

 「沖縄の経済力」とは、政府から「お金を引き出すこと」なのでしょうか。「お金をもらうこと」と聞こえます。お金をもらうことで私たちが引き受けるものは、海を埋め立て海の生態系を壊し、基地被害を受け戦争への危機を増やすなどなど。それに目をつむっていいのでしょうか。

 江戸時代の話ですが、堺の商人に「指吸」と名前を付けた人がいました。堺で一番の魚問屋・金融を営んでいた指吸善兵衛です。「食べるものがなければ、指をしゃぶって辛抱してでも不正不義はせぬ」という心意気を子孫に残すために、指吸を姓にしたということです。今日まで「ゆびすい」を社名にした会社が拡大しながら続いています。

 「指吸」とは、故・翁長知事の言った「誇りある豊かさ」の誇りでしょうか。名護市長選では多くの有権者が現市長を選びました。しかし、考えると指吸のような有権者、「誇り」を大切にする有権者もかなりにのぼりました。江戸時代には少なかったと思える「指吸」が現在では増えているのです。

 12月に辺野古を訪れた高校生たちは、どう思ったでしょうか。高校生は純粋な生き方に思いを寄せるでしょう。加えて、再編交付金で有権者を分断する政府のやり方に批判の目を持ってもらえば、明日への希望はそこにあるのですが … 。