いま新型コロナ第6波(オミクロン株)が押しよせ、介護の現場では介護崩壊のギリギリの攻防が続いています。岸田政権のコロナ対策は現場の状況とかなりずれており、デルタ株による第5波のときとはとは別の苦労が発生しています。(小柳太郎)
▽オミクロン株の特徴
一番の問題は、厚労省からオミクロン株についてはっきりした情報が出ていないことです。これまでのニュース報道のなかから注目すべき項目を上げてみます。
●重症肺炎はほとんど発症しない
オミクロン株ではデルタ株までに発症していた肺炎や免疫暴走(サイコカインストーム)による重症肺炎がほとんど発症していません。これまでは人工呼吸器やエクモの不足が深刻なニュースとなっていましたが、第6波ではほとんど問題にされていません。
●感染力は過去最高
デルタ株に比べてオミクロン株の感染力が2・5倍との情報もあり、これまでで最も強力です。コロナ感染による重症肺炎が少ない反面、すでに重い疾患を抱えている人には深刻な脅威となっています。
●児童への感染拡大
これまでに比べ、児童への感染が顕著で急激に学級閉鎖や休校が広がっています。
▽対策の方向は
私見ですが、考えられる対策の方向は二つです。もともと重度疾患のある人(高齢者、障がい者など)への感染予防に体制をシフトすること。そして潜伏期間と回復までの短さを考慮して、職場・学校などの運用ルールを見直すことだと思います。
私が仕事をしている神戸市では、現場の声がスムースに市当局に届いたため、1月26日には政府方針に先んじて次のような方針が出ました。
「市教育委員会も対応を変更。学校園ではこれまで感染者が所属するクラス全員にPCR検査を行ない、全員分の検査結果が出るまで学級閉鎖としていたが、26日から当面の間、感染者が判明した翌日から原則5日間(土日含む)に変更した。PCR検査の対象は濃厚接触者のみとなる」(1月27日付神戸新聞デジタル版)。
これまで子どもをかかえた看護師、ヘルパー、保育士たちは長期間の学級閉鎖や休校により現場に出られなかったのですが、この見直しによってなんとか出られるようになりました。市民や現場からの声がどれだけ市政を動かせるか。いまが正念場です。
▽「患者放置」は深刻
一方、政府の「自宅療養」依存の方針によって、第5波以上に患者放置の危機が深刻化しています。陽性感染者の急増により保健所の連絡機能がパンクしています。神戸市では第5波では保健関係以外の市役所職員を集め、陽性確定後24時間以内に安否電話をかけ「コロナ在宅死亡ゼロ」を実現しました。今回はすでに「人員不足から体制がとれない」と言われはじめています。
在宅者の放置は重症化のリスクが高くなり、なんとか事態の悪化を防がなくてはなりません。こういうときこそ自治体職員OB・OGにも声をかけて、力を貸してもらうべきだと思います。
オミクロン禍は、第1波?第5波に劣らぬ激甚災害です。それぞれが自分のできることをやらないと、乗越えられません。私も、介護の現場でとりくみます。