関西合同労組の春闘討論集会が1月23日に行なわれ、ユニオン22春闘がスタートした。コロナ禍のもとでの雇用・賃金の状況、岸田政権による「新しい」資本主義への批判、たたかいの方向性などが示された。要旨を抜粋し紹介する。引用は同労組「22年春闘 討議資料」から。(本紙編集委員会)

▽パンデミックが

 突きつけるもの

年明け、沖縄はじめ全国の米軍基地からコロナ感染第6派が急激に拡大し始め、1月20日には28都道府県が過去最高の4万1485人/日と、瞬く間に急増し沖縄では医療崩壊が始まりまった。米軍は日米地位協定により、フリーパスで入管手続きやPCR検査なしで入国している。日米安保体制の問題が浮かび上がっている。

 コロナ第5波では医療を受けられず自宅で亡くなった人が817人(警察発表)。コロナ解雇は12万人を超え、企業倒産も6千件以上。自殺者数は3カ月連続で前年同月を上回り、8月は前年より251人多い1854人となった。うち女性は651人、4割も増加している。コロナ・パンデミックは、新自由主義グロ—バリズムと言われる世界システムの下で人類の持続的生存を保障できるのかが、根底から問われている。

▽減り続ける賃金

 増える内部留保

労働者の賃金は減り、負担が増える一方で、企業の内部留保は800兆円と前年比24兆円増加している。消費税導による総税収は、導入から32年間で448兆円になるが、それが法人税減税分の穴埋めに使われているのが現状だ。政府は「福祉に充てる」と言うが、お金に「名札」はついていない。これは国家的ペテンである。阪神・淡路大地震や東日本大地震がそうであったように、コロナ禍で当たり前の日常が奪われている今、これまでの社会の在り方や私たちの考え方、生き方が根底から問われている。

▽コロナ緊急相談村

 昨年に続き、年末年始「コロナ緊急相談村」が全国各地で開かれた。「女性による女性のための相談会」では4日間で324件の相談があった。内容も深刻だ。金銭トラブルで住居を失い、ネットカフェで1年間生活している60代女性。父親の暴力によってPTSDとなり1年間路上生活をしている50代女性。各所で宿泊施設の斡旋や食料配布などが行なわれた。外国人や働くシングルマザーの相談が多く、コロナ感染拡大の影響が外国人労働者や非正規雇用の女性を直撃していることが分かる。

これが自公政権のいう「全ての女性が輝く社会」の実態だ。

外国人実習生は現在41万人で5年前の2・5倍だ。コロナ禍で劣悪な労働環境に耐えかね、逃げ出した実習生は8796人(約半数がベトナム人)に昇る。「特定技能」創設の改正入管法が施行されてから、特定技能は41万人中わずか1621人。アジアの若者を守る会代表・沼田惠嗣氏は「国の政策で来日しているのだから、最後まで面倒見るべきだ」と語っている。当然のことだ。

▽「新しい資本主義」

 維新の危険な政治

 昨年の総選挙では野党共闘は振るわず、自公が絶対過半数を獲得した。岸田新政権は、「新自由主義の行き過ぎ」に言及し、「新しい資本主義、成長と分配の好循環」など耳当たりのよい言辞を弄している。しかしいま必要なことは、「失われた(経済の)30年」の中味を検証し、経済成長優先の社会のありように批判の眼差しを向けることである。

関西で議席を独占した日本維新の会は、自民党ですらできなかった利権とデマゴギーの政治を繰り広げている。その危険性に注視が必要だ。憲法改悪の先導する役割も買って出ている。

「大阪都構想」住民投票の2度の敗北もなかったなかのように、万博とカジノ(IR)の二大利権に邁進している。また維新は一貫して労働組合への敵視政策を続けている。(つづく)