2018年12月の提訴から始まった琉球遺骨返還訴訟が結審を迎えた。1月20日、京都地裁で開かれた第12回弁論では、代理人弁護士4人が最終準備書面を陳述。原告の金城実さんが意見陳述をおこなった。次回、判決公判は4月21日、午後2時30分から。原告側弁護団は、正月返上で90ページにわたる最終準備書面を提出。傍聴者の胸に深く響いた。(高崎)

▽遺骨は命のつながり

 「琉球では死者はいなくなってしまうのではなく、魂が神となって骨に宿り、存在し続けると考えられている。先祖が神となった祖霊神は、子孫である現世に生きる琉球の人々を無条件に愛し守る存在となる」。

 「原告亀谷が『今の私が命として存在しているのは、先祖代々の神様のおかげだと感じているから』と述べたとおり、自己の存在そのものの源である。原告玉城は『遺骨の盗掘は、安心して先祖を供養するという私たちの生活を打ち砕いた』と訴えている」。

 「琉球の人々にとって重要な、先祖ととともに安心して暮らすということは墓地に遺骨があり、そこへ行けば先祖とつながることができるからこそ可能。そのため原告らは、骨神がもともといた場所(百按司墓)に帰ることができるよう、本件で返還を求めている。先住民族の権利の尊重・確保という脱植民地主義や、今日的な国際人権法・人道法の潮流に直結する訴訟であることを理解し判断されるよう求める」。

▽沖縄の声をどう聞くか

 金城実さんは、けがのためコルセットを付け車椅子だった。「岸田首相の才能は人の話を聞くことらしいが、沖縄の声を聞く耳をもっているか。裁判官はどうなのか。京都大学は人類学の研究資料として遺骨の返還を拒否している。日露戦争前夜に開かれた大阪勧業博覧会の人類館陳列された台湾、アイヌ、琉球、朝鮮人を見世物にした事件を想起させる。この訴訟は現代も続く歴史の隠ぺい、抹殺とたたかう裁判である」とその思いを熱く語った。

▽脱植民地主義へ

 裁判後の集会では、「今日、立憲民主の水岡俊一参院議員がアイヌ民族の遺骨返還について質問した。岸田首相は『閣議決定にもとづき遺骨を返還する。返還場所のわからない遺骨は国の施設に保管する。アイヌの人の同意を得ない調査、研究はしない。尊厳に配慮する』と答弁した。京都大学の姿勢が問われる」と報告された。

 「ウチナンチューの集まりを大きくしたい」(沖縄県人会の人)。「辺野古基地建設の強行、今立たなければ琉球は再び植民地になる。ともに戦争に反対、脱植民地支配へ」(在日の人から)。「次は大阪高裁。これ以上の準備書面はない。判決を注視し、高裁へ向かう」(大阪の支援者)、「大学の負の歴史を反省、あり方を変えていきたい」(京大の学生)、「琉球、ヤマト、二重の疎外を受けている自らの立場を問う」(在本土奄美の牧師)などの意見が出された。

▽尊厳と自己決定権

 原告団長の松島泰勝さんは、「この裁判は、琉球人の尊厳をかけたもの。京都大学は琉球人を人間扱いしていない。私たちは琉球の自己決定権と脱植民地化をめざしている。先住民族の人たちは、国内法の枠内で裁判しながら自ら権利獲得へ運動してきた。多くの先住民族のたたかいに学び、裁判を続ける。不当判決になるなら日本政府と裁判所は世界の流れと逆行することになる。琉球人、先住民族の問題というよりも日本人全体の問題と考えてほしい。この裁判をとおして自ら先住権と遺骨返還をかち取っていく」と締めくくった。