カナダのトルドー首相は、ワクチン接種義務化に反対する抗議デモにたいして、緊急事態法を発令した。きっかけは、カナダ政府が先月15日、米国との国境を越えるトラック運転手にワクチン接種を義務付けたことだ▼義務化に反対するトラック運転手たちは「フリー・コンボイ」と称するトラックデモで国境を結ぶ橋や道路の封鎖を開始した。封鎖による損害は数百億円あるいは数千億円とも予測されている。▼極右勢力がデモ隊を扇動しているといわれている。カナダの長距離トラック運転手の85%は接種済みで、抗議は一部のものにすぎないという見方もある▼そもそもワクチン接種義務化は必要なのだろうか。集団免疫は接種率60〜70%で達成されるといわれてきたが、デルタ株では95%以上でも達成できないという報告もある。集団免疫戦略が揺らいでいる。だとすれば未接種の15%にワクチンを強制する正当性はあるのだろうか。コロナ禍はあらゆる面から民主主義を蝕んでいるようだ。(露)