「核戦争回避」声明

 核保有5大国は、「核戦争を回避する」共同声明を発表した(1月3日)。回避を表明しながら、核兵器の削減ではなく、更新と高性能化を続けている。
ウクライナをめぐる対立に、プーチンは「ロシアは世界最強の核保有国の一つである」「邪魔を試みようととする者は…大きな結果に直面する」と核使用を示唆し、核部隊に「態勢を高レベルに引き上げるよう」指示した(2/27)。同日、安倍元首相は「核共有をタブー視しない」と述べた。NATO、アメリカもビューヘル独空軍基地に核兵器を配備している。一昨年、アメリカは中距離(核)ミサイル削減条約を破棄した。1月の共同声明は、核兵器禁止条約への明確な対抗である。

核兵器をめぐる動き

 昨年10月、国連総会(193カ国)は、日本が毎年提出している「核兵器廃絶決議案」を賛成多数で採択した。賛成152、反対4、棄権30。保有5大国では米英仏が賛成、ロ中は反対した。核兵器を全面禁止する核兵器禁止条約への言及はない。
 核禁条約の批准、署名(批准への準備)は拡がってはいる。社民党など3党が連立するドイツ新政権が核禁条約会議へオブザーバー参加を表明した(21年11月)。ドイツはNATOに加盟し、日本と同様にアメリカの「核の傘」の下にある。
 批准は発効時の50から59カ国・地域となり、署名86カ国・地域を合わせ145カ国・地域に達した。オブザーバー参加を伝達したのはブラジル、インドネシア、スェーデン、中央アフリカ、コンゴ、東ティモールなど10カ国である。ノルウェーは伝達していないが参加を表明し、オブザーバー参加は10数カ国となった(1月下旬)。

核禁条約会議の延期

 今年3月に予定されていた核兵器禁止条約の第1回締約国会議は、コロナ感染拡大のため延期となった。核保有国は条約に賛同も批准もしない。1月開催だった核拡散防止条約(NPT)再検討会議も延期となった。
 被爆者をはじめ、多くの人びとが「核兵器禁止、原発廃止」の声を上げ、核禁運動が続けられてきた。しかし世界は核兵器による抑止力論や威嚇を続け、原発稼働もやめようとしない。
 世界1万3千発の核兵器のうち保有5大国が9割を占め、米ロで1万発以上を有する。核兵器廃絶への道を開こうとするなら、米ロが率先し弾頭やICBM、中距離核ミサイルを大幅に廃棄するべき。その上で他の保有国に漸減、破棄を迫ることだ。

出席を拒否する日本

 日本政府はどうか。岸田首相は、広島1区選出である。「保有国と非保有国の橋渡し」とは、どういうことか。「核兵器のない世界に一歩でも近づくことができるよう…核兵器国と非核兵器国の信頼と協力の上に…まずはNPT(核拡散防止条約)再検討会議を成功させ、米国など関係国と連携しながら…」(12月臨時国会)と原稿を棒読み。「核兵器のある世界」を容認し、核の傘と一体の日米安保を積極的に進める。核兵器禁止条約への賛同はもとより、締約国会議オブザーバー参加も否定する。  (つづく)