
2月21日、全日建関西生コン支部の17年12月ストライキ、組合活動が威力業務妨害とされた事件の大阪高裁控訴審判決があった(写真左)。「無関係の第三者に押しかけ業務妨害」とした大阪地裁の判決に控訴していた。一審判決(20年10月)は、威力業務妨害罪で懲役2年6カ月、執行猶予5年。二審高裁も、執行委員の一人と元役員に対して控訴を棄却する不当判決だった。
一審判決をなぞっただけの不当判決で労働法への無理解ぶりをさらけ出した。裁判長は「組合員」を「組員」と何度も読み違える有様だ。闘いの場は最高裁に移るが、運動の力がこの不当判決をはね返す鍵となる。
大阪地裁前の公園での報告集会は大きな怒りに包まれた。「不当判決弾劾」「ストライキは権利だ」「間違っているのは裁判所だ」のシュプレヒコールがあがった。主な発言を紹介する(高崎)。
大きな禍根残す判決
関西地区生コン支部
私たちの訴えは、全く認められなかった。労働者が生活や権利を守っていくためのストライキ、スト権が認められない。大きな禍根を残す。当の執行委員は、直接現場にも行っていない。もちろん現場に行こうが行くまいがストライキは働く者の権利だ。裁判所はどうかしている。絶対に負けられない。
検察や警察は組合員に不当な脱退勧奨をしている。私たちは反社会集団(権力側の用語)でも暴力団でもない。労働組合が資本に対しストライキを行なうのは当たり前。憲法(28条)は団結権、団体行動権を認めている。(労働運動には)刑事免責、民事免責もある。それが違法か。これからもストライキで闘う。絶対に負けない。
ストは全てアウトに
太田健義さん(弁護士)
裁判所は、検察官が不同意としたことは一切認めなかった。本人質問も認めなかった。現場とどういう連絡を取ったか、通話記録はあるが内容は一切ない。現場で指示したわけではない。裁判官は、「統一的な行動をとっているから威力業務妨害についてわかっていた」とした。それならストライキは全てアウトになる。2010年の大規模ゼネストでは誰も弾圧されていない。組合側が団結しゼネストして(生コン)輸送を止める。
これでは、計画しただけで威力業務妨害になりかねない、滅茶苦茶。役員が何を言い、何を指示したかが一切ない。問題は、これで誰が損をするか。労働者、市民、日本社会、そこに住んでいる私たち。社会が疲弊していく。裁判所には、それがわかってほしい。上告する。
裁判所の無知・無理解
小谷野毅さん(全日建中央本部書記長)
判決に非常に腹が立つ。一審判決に対し労働法学者、労働弁護団が徹底批判した。「植田組や中央生コンに関生支部の組合員がいないから団体交渉の相手にならない。労使関係もない。だから労働争議することはおかしい」という論理でストライキや団体行動を否定した。宮里邦夫・弁護士は「産別労働運動への無知、無理解」と酷評した。
ストライキ時、植田組らは社員を動員し、車両に突っ込んだ。映像を見ても車両に張り付いているのは彼らだ。妨害したのは彼らではないのか。だが判決は、「会社側が大量の社員を動員して対抗するのは当然」とした。
一審では、「関生支部は計画的、組織的に行動したから問題」とした。
今回は「この説得行為に会社側が応じないのはわかっていた。あらかじめ止めるつもりでやっていた、そこまで共謀していただろう」と言っている。「共謀の実態はないが、みんなわかってやっていた。だから共謀だ」といっている。それなら、労働組合の活動そのものができなくなる。一人ひとりが判断し行動することが罪になる。
上告し、判決にたいし批判を深め、産別運動、企業の枠を超えた労働組合の正当性を社会的に評価させる、そういう陣形をつくっていきたい。