長期化するコロナ禍により、空港、航空・旅行業界がもっとも打撃を受けているのは周知のとおりだ。成田空港では、全便の80%をしめる国際線が90%超激減する状況である。それが2年間継続し、今後を見通すこともできない。経営的にもこの2年間、700億円/年を超える赤字を重ね、危機的状況にある。成田空港会社(NAA)田村社長は、今年1月「航空復活元年に」と言ったものの、なんら具体的方策を示すことができない。1カ月後には「未曾有の航空危機が長期化する」と吐露した。
 第3滑走路・機能強化計画は、周辺市町の合意を得てスタートしているが、進捗が期待できる状況にはない。政府・NAAは計画の立ち消えを恐れ、県や周辺市町は機能強化へ協力する見返り振興策がなくなることに怯えている状況が見える。成田空港はB滑走路が長期の整備工事に入っており、実質A滑走路1本での運用が続いている。3本目の滑走路などまったく必要もない。
 これら空港をめぐる状況のもと、市東孝雄さんの農地の強制収用は法的には可能(農地法裁判関係の農地)となっているが、現在のNAAが実行に移す客観条件も体力もあるとは考えにくい。
 地元住民のなかから新たな動きが始まっている。報道によると芝山・多古町民が騒音訴訟の準備を始め、横芝光町では地元民が県やNAAに機能強化の凍結を求める要望を提出している。三里塚反対同盟は、昨年10月の全国集会で「巨大空港建設の時代を終わりに」と訴えた。気候変動問題など環境・生活からの視点にも言及している。
 関西実行委員会は、現地闘争、新やぐらや耕作権裁判、産直野菜のとりくみなど反対同盟農民の闘いと生活の両面で支援運動を続けている。4月10日「食と農業の今」学習集会は農業とは、農民とはというテーマにアプローチする。
三里塚闘争と支援運動を農業問題の視点からも探っていく企画である。