福島原発事故から11年目を迎えた3月11日を前後して、関西各地で反原発集会が開かれた。

故郷で原発事故が

【滋賀】3月5日、「原発のない社会へ2022びわこ集会」が大津市の膳所公園で開かれ、500人が参加した。嘉田由紀子参院議員が連帯のあいさつ、三日月大造滋賀県知事がメッセージ。神田香織さんがトーク。平尾道雄米原市長、井戸謙一弁護士、県内避難者が発言した。
 神田さんは、福島県いわき市の出身。講談師としてプロデビューする前に行ったサイパンで、「バンザイクリフ」を見て戦争の悲惨さに衝撃を受けた。以来、戦争をテーマにした講談をと。そして、広島、長崎、沖縄に足を運んだ。広島の原爆資料館で見た「裸足のゲン」に、「これだ」と。講談化に取りかかったのが1986年。その年の4月26日にチェルノブイリ原発の事故が起きた。
 01年に「チェルノブイリの祈り」と出会う。著者の了承をもらい、02年から講談を始めた。「原発を扱ったら干されるぞ」と忠告されたが「テレビやラジオから外されてもよい」と心に決めてやってきた。講談のなかで「架空の原発事故」も語ってきた。自分の故郷で事故が起きてしまい、悔しい。(多賀信介)

福島の事故は人災

【京都】3月12日、円山公園音楽堂(京都市東山区)で「バイバイ原発3・12きょうと」が開かれ1200人が参加した。(写真上)京都大学複合原子力科学研究所の今中哲二さんが講演。福島第一発電所が津波に弱いことは事前にわかっており、東京電力内で08年に対策が検討されたが首脳陣が反故にした。事故は人災だったと話した。
 福井県若狭町の石地優さんは、高浜原発の半径50キロ以内に京都府の3分の2が入るが、福井県は5分の1だけだ。むしろ京都は「地元」にあたると話した。(今津)

原発は核兵器

【大阪】3月13日、「2022年さよなら原発関西アクション」集会がエルシアター(大阪市中央区)で開かれた。主催は実行委員会。
 福井から宮下正一さんが、関西電力と関電旧役員の不正にたいし不起訴後、1400人近くが検察審査会に申し立てていると報告。3億6千万円もの金を着服した人間が罰も受けないのを許してはならないと語った。
 立憲民主党の山崎誠さんは、ロシア軍がウクライナの原発を攻撃していることにふれ、戦争になれば原発が狙われることを、3月9日の経済産業委員会で質問すると「原発は武力攻撃を想定していない」「原発がなくても核ミサイルが飛んで来たら同じでしょう」という驚くべき回答が。
 元裁判官の樋口英明さんは、「原発は自国に向けられた核兵器だ」と話し、大きな拍手を受けた。(池内潤子)