2014年にウクライナ、今年2月にはアフガニスタンで取材したジャーナリストの西谷文和さんの講演を聞いた。
ウクライナのマイダン革命(13年11月から14年)では当時の独裁者ヤヌコビッチ大統領にEU加盟を求める100万人のデモがおこなわれた。これを治安警察は激しく弾圧し、催涙ガスやゴム弾、そして実弾によって多くの犠牲者を出した。
デモに紛れ込んでいたのが「右派セクター」と呼ばれるネオナチ集団。彼らはスキンヘッドにカギ十字で、「反ユダヤ」「反ロシア」を叫んでいた。プーチンが「ウクライナがネオナチに支配されロシア系住民が虐殺されている」と口実にしているのは、彼らの存在を利用している。
クリミア半島とドンバス地方にはロシア系住民が多く住んでいる。スターリンがそこに住んでいたトルコ系タタール人をシベリアに強制移住させ、ロシア系を移住させた。ドンバスでは石炭や鉄鉱石を掘りだすためだ。
スターリンはウクライナの穀物をモスクワに供出させ、700万人のウクライナ人を餓死させた。第2次大戦中はヒトラーの迫害でポーランドからユダヤ人が逃げてきた。
こうしてウクライナにはロシア系、ユダヤ系、トルコ系と複数の民族が混在しているが、仲よく平和に暮らしていた。それを分断し、迫害し、戦争を持ち込むのは常に支配者たちである。プーチンはシリアで病院、学校、商店街、モスクなどを爆撃したが、それを今ウクライナで行っている。
ソ連消滅の際にワルシャワ条約機構は消滅した。これに対抗するNATO(軍事同盟である)も本来は必要ない。そのNATOが東方拡大して今や30カ国になった。プーチンが脅威を感じ戦争の決断に至ったのは根拠がないわけではない。
バイデンはプーチンとの会談をキャンセルし、大量の武器をポーランドなど隣国に送り込んでいる。各国も「戦争はもうかる」とウクライナの周辺に各国の軍隊を集結させている。また経済制裁はロシアの人々を苦しめるだけで、憎悪が強まり戦争を泥沼化させるだけだ。
日本はどうか。安倍や維新がアメリカの核兵器を国内に配備する「核共有」を主張している。軍備の増強で国が守れたためしはない。岸田政権は軍事費をGDP比2%にするというが、それは日本が世界第3位(現在は9位)の軍事大国となることだ。ウクライナ問題を利用した軍拡を許してはならない。