伊方原発運転差止広島裁判(本訴)の27回口頭弁論が、広島地裁(大森直哉・裁判長)で行なわれた(3月14日)。恒例の乗り込み行進はコロナ禍情勢から行わず、地裁前で原告らが「今こそ、司法の正義を」の横断幕を持ち記録撮影した。
 
もだえ苦しみ死んだ姉
 
 口頭弁論では原告側、被告側双方が準備書面を提出した。原告側弁護団が提出したのは、「地滑り、津波、地震予知、震源不特定地震動」(要約)などの準備書面6通。
 原告として意見陳述した山口裕子(やすこ)さん(広島原爆・被爆者、89)は、「広島市中心部で父母ら家族6人が暮らしていました。当時高等女学校1年生で12歳。8月6日の朝、市街に防火帯をつくるための建物疎開作業に動員され被爆しました。惨禍のなか瓦礫の下から炎の中を生き延びた姉も、原爆症で苦しみながら亡くなった」と訴えた。
 日本の原発推進に一貫して反対してきたこと、東海村旧JCO臨界事故で被曝し亡くなった作業員の様子、「日を追うごとに重症化する」写真を見て、原爆のとき姉がもだえ苦しみながら変わっていった姿と重なり、核被害は同じと実感したことなど、伊方原発の運転差止広島裁判の原告になった動機を話し、「未来への責務として原発を無くしたい」と述べた。
 
核の威嚇を許さない
 
 広島弁護士会館で記者会見と報告会がリモートで開催された。弁護団が準備書面を解説した後、山口さんが原告意見陳述の内容を話した。
 「今こそ、司法の正義の実現を」というスローガンを確認し、3月11日に発行された冊子『戦後最悪の司法判断の一つ 広島地裁吉岡決定』が紹介された。次回口頭弁論期日は6月8日。
 3月16日には福島原発ひろしま訴訟がリモート併用で開催され、提訴から8年となるおかやま訴訟は3月29日に岡山地裁で結審した。
(江田 宏)