大阪市東住吉区で1995年、女児が焼死した火災を巡り殺人罪などで無期懲役が確定し、その後の再審で無罪となった青木恵子さんが、国と大阪府に損害賠償を求めた裁判の判決が3月15日、大阪地裁であった。判決は警察の捜査は違法と認め、大阪府に賠償を命じる一方、検察については違法性を認めず国への請求を棄却した。青木さんは控訴する。
判決後に青木恵子さん、加藤高志さん(弁護士)、桜井昌司さん(布川事件国賠元原告)、西山美香さん(湖東事件えん罪)が次のように話した。
青木恵子さん 和解協議で裁判長から「国の違法性については判例を検討している。しかし楽観はしないで」と言われた。私は、裁判長に「火災の再現を実験し、その結果で起訴したのはおかしいでしょ」と。「(ガソリンを撒いて、その場で火をつけたら犯人も大やけどした)京都アニメ、大阪のクリニック事件は、どうでしたか。おかしいでしょ」と言いました。裁判長は「ウンウン」と頷いていた。しかし、判決は認めなかった。
「裁判長、判決は間違いです」と言いたかった。
今日着ている服は、真っ白。完全無罪判決を求める意味です。桜井さんの判決のときも、この服でした。湖東の西山さんに繋げたいという思いで白い服を着ました。国(検察)は、反省しない。えん罪で人の人生を踏みにじった責任を取ろうとしない。腐った組織だ。怒りしかない。
加藤高志さん 大阪府警の取り調べの違法性とその甚大な被害が賠償に反映したことは評価できる。それだけひどい取り調べがされていた。しかし、検察官がきちっと調査する立場にあることをあいまいにした。これがどういう影響を与えるか。「検察官は、どんな取り調べが行なわれていても知らんふりでいい。その責任は問われない」と思ってしまうかもしれない。
桜井昌司さん 裁判に勝ったのはまちがいない。警察が違法なことをすればだめなんだ。いままでは勝てなかった。それが日本の裁判の歴史だった。高裁で新しい判例をつくればいい。残念なのは、私の裁判が最高裁にいけなかったこと。判例をつくることができなかった。青木さんが闘って、西山さんにつなぐ。違法なら、警察も検察も裁かれることを明らかにする。えん罪で苦しむ仲間は大勢いる。私たちは歴史を変えるフロントランナーになるべきだ。
西山美香さん 青木さんの勝利を信じてきました。獄友です。刑務所で、青木さんの事件で再現実験があったと新聞で知った。えん罪は、晴らすことができる。
青木さんに学び、私の国賠裁判を闘っていきたい。(以上、要旨) (高崎)