ぼくが高校生の頃、ディスカバー・ジャパンというキャンペーンを国鉄(現JR)がやっており、確か『遠くへ行きたい』というテレビ番組もありました。その頃の国鉄の駅には、エレベーターもエスカレーターもなく、駅員の態度も悪かった。
時代は流れ、06年に公共施設などを障害者・高齢者が利用しやすくするために、「ハートビル法」が制定されました。駅にもエレベーター、エスカレーター、多目的トイレの設置がかなりすすんでいます。一方、人減らしで駅員がいない駅も増えました。ぼくの使う駅は私鉄ですが無人駅で、車いす用の渡し板を主要駅から持ってきて貰わなければなりません。
駅の設備面や人員の問題もさることながら、ぼくが交通機関を使うたびに不都合を感じる事が多々あります。
まず、車いす用の幅の広い自動改札。絶対と言っていいほど、ほかの乗客が途切れるまで通れません。車いすを無視してさっさと通り抜けていきます。
次にエレベーター。他の乗客と一緒になると「すいません」と言ってしまう。ボタンを押しながら手を振って「乗れ」と促される時は、「俺は荷物でない」とムカッとするものの、つい「すいません」が出ます。
電車の乗降口のドア。スマホをしながら車いすに気がつかないで乗るのをふさぐやつ。こういうやつにも「すいません。空けてもらえませんか」と言ってしまいます。以前、杖を使っていた時は吊革も持てずドアの手すりにもすがれないので、スマホの連中に本当に困りました。車両内の車いすスペース。ここも他の乗客が占領しています。どいてもらうのに、また「すいません」。たいがい邪魔くさそうに、のろのろと移動しますね。
「すいません」。なんという使いよい言葉でしょう。ぼくは、この言葉をこれまで何10万回使ってきただろうかと思います。もう使いたくない。でも、使ってしまう悲しさよ。