〝原発標的〟で決意
 
5月29日投開票の新潟県知事選に、反原発市民団体「新潟の新しい未来を考える会」会長の片桐なおみさん(72歳)が立候補を表明した。世界最大の東電・柏崎刈羽原発の再稼働問題に、あいまいな立場をとり続ける(つまり容認しかねない)花角現知事にたいし、「反原発」を真正面に掲げての挑戦である。
片桐さんは、県内の住宅建築メーカーの副社長で、県経済同友会副代表など県経済界の「重鎮」という立場にあるが、住民のたたかいで白紙撤回させた巻(まき)原発建設問題以来一貫して反原発をつらぬいてきた人だ。
2期目を狙う現知事側は、自、公、国民+連合という「強固」な陣形。一方、野党は候補を擁立できず、無投票になりそうな情勢だった。しかし、片桐さんは、ロシアのウクライナ侵攻―原発が標的になったという現実を目の当たりにして、何としても原発をなくさねばと厳しいたたかいを覚悟の上で決意したという。
3月17日の正式立候補記者会見の写真には片桐さんの後にたくさんの人々が並んでいる。ここに、彼女の決断を喜び、ともに闘おうとする姿が見て取れる。社民、共産の推薦、立憲は「自主投票」といったん決めたが実際には現職の衆参国会議員も支持表明。さらに、自民党の小泉純一郎元首相、中川秀直元幹事長も応援を約束した。今、「反原発」での「オール新潟」が生まれつつあるのではないか。圧倒的に不利に思える選挙戦だが、サプライズは不可能ではない。
 
参院選の流れ変える
 
片桐さんの「勝利」は、全国の再稼働問題に大きな影響を与え、「与党圧勝か」などといわれる夏の参院選の流れを変えるかもしれない。新潟に注目を。そして全国から応援を。      (蕗)