4月10日大阪で三里塚関西実行委員会主催の学習講演会「食と農業の今—食料自給率37%から見えること—」が開かれた。講師は京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さん(写真下)。三里塚芝山連合空港反対同盟の萩原富夫さんをはじめ60人が参加した。
萩原さんはあいさつで、「成田空港は機能強化で発着回数を倍にするといいながら、『成田サスティナブル2050』では、2050年にCO2排出を半減すると正反対のことを言っている。まったくでたらめだ。農地を守ることの正しさに確信を持って、気候変動阻止を訴えていく」と話した。
他に部落解放同盟全国連合会の滝岡さん、全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部の西山さん(メッセージ)、若狭の原発を考える会の木原さんの挨拶があった。
藤原さんは、農業史・環境史を専門とし、ナチス・ドイツを研究する。講演では、ナチスと対決するマルクス主義者が農業・農村を位置づけなかったと指摘した。食べることの大切さから農業をとらえるべきであり、食と農は喫緊の課題であると話した。以下は講演要旨。     (江戸)
 
ナチスを支持した農村
 
ナチスはヒトラーという常軌を逸した個人によって引き起こされたのではない。支持者の分析をすると都市ではなく農村だった。農民が主人公でなければこの国は死ぬとまで言って農村を認める一方、農村に残っていた外国差別なども取り込み支持を得て、国民がつくった党がナチス。ナチスは嫌いだが、これが食物と農業の歴史から学んだことである。
 
「緑の革命」
 
20世紀の歴史は、人間と土、空気など環境から見ないと分からない。1930年代アメリカのニューディール政策は土壌を破壊した環境破壊。ロックフェラーやフォードは品種改良と化学肥料と農薬を「援助」というパッケージにした「緑の革命」を世界で行ってきた。だが、ここに入ると抜け出せない。スタインベックの「怒りの葡萄」やレイチェル・カーソンの「沈黙の春」が告発したように、1960年代から問題になっていた。
全世界の食料の量は足りているが、飢餓があるのは一極集中のフードシステムがあるから。日本では食料自給率はカロリーベースでは37%、空港や港が閉ざされると数日でギブアップだと農水省が推測している。
「子ども食堂」は福祉の崩壊の現われで、高齢者とのコミュニティの場にもなっているが、「食」がボランティアではいけない。
 
都市中心の農村対策
 
補助金、道路、原発など、都市中心の農村対策だ。原発依存の地方開発は日本の荒廃。人体にも自然環境にも影響を与える化学物質。農薬をやめて有機農業にすると農家が食えない。
日本のように小さな土地の小農業を大切にしようと、2015年国連が「家族農業年」のキャンペーンをしている。世界に先駆けた家族農業だ。
食物は人をなごませる、リッチにする。人は相対して食べることで、人間関係を作り上げた。低賃金と食の問題については、食費を労働者のコミュニティベースから考えるべきだ。コミュニティと信頼、産直などつながる農業、また障がい者とともに農業をする「農福連携」も取り組まれている。