05年4月25日に起きた福知山線、JR尼崎事故では107人が死亡、562人が重軽傷を負った。事故を二度と繰り返してはならないと市民、国労組合員、労働者が集まり毎年開かれてきた。
4月29日、尼崎市内で開かれた「ノーモア尼崎事故」命と安全を守る集会では、遺族からの訴えと、犠牲者を哀悼する歌『桜の涙』の演奏と合唱があった。作詞した宝塚市の岸本早苗さんの息子の遼太さんは、通学のためこの電車に乗って負傷。首を捻挫し、事故現場を目の当たりにし、心的外傷後ストレス障害(PTSD)からうつ病を発症。事故から3年5カ月後に亡くなった。
岸本さんは、JR西日本に事故現場の慰霊碑に遼太さんの名前を刻むよう求めてきたが、今も叶っていない。その岸本さんも昨年10月に亡くなった。作曲は、遼太さんにピアノを教えていた熊谷恵子さん。熊谷さんは、「岸本さん親子、ご遺族、事故を忘れてはならないという思いで曲をつくった」と話した。
JR現場から「駅の効率化縮小が進められ、人員削減と駅の委託化、無人化、駅窓口がどんどんどん閉鎖され利用者が困っている」と報告。
安全問題研究会の地脇聖孝さんは、「限界に来た民営JR7社体制と再国有化の展望」を語った。知床観光船事故のように、安全無視の事故が繰り返し起こっている。新自由主義による規制緩和や国土交通省の責任。地域における鉄道の復権、再国有化をめざすことは「地域から民主主義をつくり出す」と問題を提起した。(庄)