今、世界のニュースはウクライナに集中しており、アフガニスタンは忘れ去られようとしています。ロシアのプーチンの残虐な侵略戦争がくりかえしクローズアップされていますが、正義面してロシアへの経済制裁やウクライナへの武器援助を叫ぶアメリカはアフガンで何をしたでしょうか。
アメリカは20年にわたる「テロとの戦い」に880兆円を費やし、約90万人の中東の人びとの命を奪いました。
アフガンの国土は破壊しつくされ、アメリカの経済制裁は今、人びとの生存をおびやかし塗炭の苦しみにたたきこんでいます。国連は2400万人の人道支援が必要と警告しています。人びとは餓え、街中のいたる所に子どもやブルカの女性の物乞いが増え、ゴミを拾い、ひどい場合は幼い娘を結婚させ、子どもの売買まで報告されています。避難民は340万人にのぼり、その80%が女性や子どもの弱い立場にある人びとです。
アフガンはもともと、古くはシルクロードの拠点として発展し、建築や文学、美術と豊かな文化に満ちた美しい国でした。現在の事態を招いたのはソ連やアメリカの身勝手な侵略戦争以外のなにものでもありません。
2019年、暗殺された医師・中村哲さんは約20億円(日本の人びとの善意です)の予算で東京ドーム3000個以上の砂漠を農地に変えて、約65万人もの人びとを救ってきました。「戦争でなく、米や小麦で平和を勝ちとるんです」と中村さんはおっしゃった。
この20年の戦争で結局喜んだのは大国の軍需産業と石油産業、ゼネコン、そしてそれに融資するメガバンクです。
日本では盛んに「中国脅威論」が叫ばれ中国を「仮想敵」とし、それに対抗するとして核装備まで語られています。これで得するのは戦闘機やミサイルを売りこむアメリカであり、それに従属しながら軍事大国化を狙う日本政府であり、断じて許してはなりません。
最後に一言、女性として何としても語りたいことがあります。アフガンでは昨年5月、6000人の生徒が通う女子校で76人の女生徒たちが爆殺されました。原因は被差別民族であるハザラ人への迫害。さらに「女性は勉強してはならない」というイスラム原理主義者の教義にもとづくものです。そのあまりの差別性に、これをどう考えればいいのか悩みながら、暗中模索のなかでこの記事を書きました。タリバン政権下、この女子校は再開されるのでしょうか。