
「原告に遺骨返還請求権はない」。琉球遺骨返還請求訴訟の判決で京都地裁は原告の請求を棄却した(4月21日)。不当な判決に傍聴者から「聞こえない」「裁判長は間違っている」「理由を述べろ」の声が飛ぶ。
判決後の報告集会で原告、弁護団らは、次のように見解を表明した。
政治に忖度するな
原告・亀谷正子さん
司法は政治に忖度している。裁判所は、国際人権規約と先住民族の権利を無視した。戦後77年、民主主義は確立していない。仮面を被り民主主義国家を演じるのは笑止千万。意見陳述で京都大学に組みすることなく、司法の良心を示してほしいと訴えた。大阪高裁で叶えられることを願う。
私たちの尊厳を守る
原告・玉城(たまぐしく)毅さん
京都大学の知らんふりの姿勢は許せない。裁判は私たちの尊厳を守り、取り返すもの。与那国まで自衛隊の基地がつくられている。「台湾有事」、再び戦争に巻き込まれるかもしれない。
台湾大学から返還された遺骨を百按司墓(むむじゃなばか)に戻そうとしているが、今帰仁村の教育委員会は、京大と同じ対応をしている。遺骨を取り戻し、沖縄の心を取り戻していく。
琉球人の人権回復へ
原告団長・松島泰勝さん
付言の「日本人類学会、今帰仁村の教育委員会と話し合ってはどうか」は大問題だ。遺骨は研究対象ではない。京大は利害関係者でもない。日本の裁判所は、世界の流れに逆行している。京大は94年間、多くの国から同意もなく遺骨を盗んだが、その台帳をつくっていない。私たちは、盗んだ遺骨は元に戻せと言っている。人間として当然の要求。高裁、最高裁まで争い、琉球人の人権と尊厳の回復をかけて、先住民族の権利を守らせる。
判決に大きな違和感
弁護団の話
判決は、遺骨の関係者には日本人類学会、今帰仁村(なきじんそん)教育委員会、祭祀継承者、原告を含め他にもっと多くいるとし、付言で「原告に遺骨を返還すると新たな紛争を引き起こすことになる。遺骨返還は関係者と協議し調整を」とした。大きな違和感がある。気持ちを新たにして争う。