憲法施行から76年目の5月3日、全国各地で憲法集会が開かれた。ロシアによるウクライナ侵攻に便乗するように、日本政府は軍事費の対GDP比2%(10兆円超)への拡大や、外国への先制攻撃につながる「敵基地攻撃能力」の保有を進めようとしている。また安倍晋三元首相や日本維新の会などは米軍の核兵器を国内に配備する「核共有」を主張している。先月末、自民党は中国を仮想敵国とした戦争準備を進める「提言」を岸田文雄首相に提出した。
こうした憲法前文の「不戦の決意」を公然と踏みにじる政府と一部与野党の動きに、各地の憲法集会では強い危機感が表明された。兵庫と京都の憲法集会で発言したジャーナリストの金平茂紀さんは、2月下旬ウクライナで取材し、「どうしても話さなければならない」という思いにかられたという。
新聞各紙の世論調査で「改憲」を選択する人が増えていることに、「危機を煽って憲法を変えようとするのは火事場泥棒だ」と政府やマスコミの姿勢を批判した。そして「ウクライナ情勢の今こそ、日本国憲法の真価を発揮すべき時だ」と強調。自身がベラルーシで取材した市民のほとんどが「この戦争に反対だ」と答え、「逮捕されてもかまわない」という人もいたことを紹介し、「こうした市民の力こそ頼りになる。そして希望がある」と訴えた。(3面に関連記事)