本を読み映画を見ながら、ぼくはどれだけ沖縄に近づけたのだろうか。
読書案内にもならないだろうし、映画のガイドにもならないと思いますが、ぼくが今まで読んできた沖縄に係わる「本と映画」について書いてみます。
取り上げる作品は、ぼくの頭に浮かんだ順です。記憶だけを頼りに書くので、作品の評論なんてできません。感想にもならないかもしれません。読まれた方から「こんないい本、面白い本、映画もあるよ」と、教えてもらえたら嬉しいです。
■沖縄のいま ガイドブック(岩波ジュニア新書)
1996年、家族旅行で沖縄に行くことになり、沖縄の歴史と文化を知ろうと読みました。本の構成は、照屋林賢(りんけん)さんと名嘉(なが)陸稔(ぼくねん)さんの対談です。沖縄の文化が語られます。コラム欄には、沖縄の歴史や基地問題にふれています。林賢さんたちの沖縄ポップスは、本土の人になかなか受け入れられなかったそうです。
■対馬丸(講談社文庫)
沖縄から初めて芥川賞受賞作となった大城立裕さんが書いた対馬丸事件の小説です。
「学童疎開」通達から3日間で人員を集めなくてはならない教師の心の揺れ、親たちも鹿児島に子どもたちを疎開させるのが嫌で、なかなか集まらなかったのです。親を説得して募集枠を埋めたそうです。アメリカの潜水艦の魚雷攻撃により、学童疎開の784人が犠牲になりました。1944年8月22日のことです。那覇に、対馬丸記念館があります。
■水滴(文藝春秋社)
目取真俊さんの芥川賞受賞作、幻想的な小説です。ある日、農民の徳正の右足が腫れ、親指の先から水が出てきます。そして4日目の夜から兵隊が現れ、親指から出る水を飲みにやって来るのでした。兵隊の中に、同じ師範学校の同級生、鉄血勤皇隊でも一緒だったイシミネも現れ水を飲みます。徳正には、沖縄戦でイシミネを見捨てた心の負い目があったのでした。
浪速の歌う巨人、趙博(パギやん)さんが一人芝居の演目にしています。
■オキナワの少年(文春文庫)
(映画版は1983年公開)
この作品で芥川賞をとった東峰夫さんの作品です。小説と映画では、全然内容が違います。小説では、主人公の少年の家は、ゴザの町で売春宿を経営しています。映画版は宮森小学校、米軍機墜落事故がモチーフになっています。この事故で足に怪我をした青年が主人公です。内藤剛志、緒形拳らが出演していました。
■ウンタマギルー(1989年公開の映画)
内容はほとんど忘れてしまいました。ウィキペディアの説明によると、沖縄の西原町に伝わる「運玉義留」をベースに、日本復帰直前の沖縄を描いたファンタジーとありました。
主演は小林薫でした。大阪堂島の大毎地下で観たような記憶があります。セリフがウチナーグチで、日本語の字幕がついていたのでびっくりしました。
■標的の村(三上智恵監督のドキュメンタリー映画)
ぼくが辺野古に行くきっかけになった映画です。
関西学院大学の学生さんが上映会を催し、大学のある西宮、上ヶ原まで観に行きました。沖縄北部、山原の高江住民が生活のためとはいえ、ベトコン役をさせられていたのにショックを受けました。同じ日本でこんな理不尽が行なわれているのかと思いました。 (秀)